思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

安倍晋三イデオロギーの致命的な欠陥

2007-05-19 | 教育

改定された「教育基本法」、及び、いま改定される予定の「学校教育法」の中心理念である「家族・郷土・国を愛する態度を養う」という思想は、哲学的には極めて稚拙(ちせつ)なものです。

「私」と「世界」が抜け落ちているからです。

「私」を愛する態度―「私」からの出発が抜け落ちた思想は、哲学的には、原理なき妄想という他ありません。「私」という土台・中心を持たなければ、家族も郷土も国もすべてその根付く場所を持たず、宙に浮きます。【「私」を大事にし、愛すること】、これは人間の生の原理であり、この原理を不明瞭にすれば、全ては「砂上の楼閣」に過ぎなくなります。「私」という中心をしっかり育てることがなければ、他者とのよき関係も築けない、人権という基本ルールさえわきまえられなくなる、これは言わずもがなの話です。

短編小説の最高峰―小説の神様と呼ばれた志賀直哉は、さすがに慧眼の持ち主でした。「私は、こどもたちに自分を大切にし、自分を愛することを教えよう。」と書いています。

また、「世界」への開かれた愛の態度がなければ、【自閉的精神=日本主義】に陥り、【家族主義・郷土主義・国家主義】へと転落するほかありません。この「主義」は、人間から幸福を奪い、個人から発するパワーを減衰させることで、社会全体をダメにしていきます。

「私」という哲学(人間の生)の原理がなく、開かれた「世界」への憧憬を持たない教育目標を掲げる国は、どう転んでも「よい国」「美しい国」にはなりません。タカ派・保守主義の安倍晋三という男を首相にしている国は、「愚かな国」「不幸な国」への道をひた走っています。彼は、16日の国会における「党首討論」の場でも、「家族・郷土・国を愛する態度を養う新・『教育基本法』によって、戦後レジームからの脱却を果たす」と声を張り上げていました。

「戦レジーム」の問題点が見えない「哲学なき愚かな想念」の持ち主・安部晋三は、国を再び未曾有の大災厄に投げこみかねません。私は、わが日本国民が、そうならない前に「目を覚ます」ことを願っています。

武田康弘



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