思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

今年の第九はプレートルの新譜を、永遠の第九はクレンペラーのDVDで。

2008-12-16 | 日記
今月の新譜で素晴らし「第九」が出ました。

2008年のニューイヤーコンサート、熱く感動的な指揮で聴く者を魅了したフランス楽団の大御所ジョルジュ・プレートルのベートーヴェンです。
もう大昔になりますが、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」全曲や、ビゼーの「カルメン」全曲(カルメンはマリア・カラス)で、その豊かな情感と艶やかな音楽にほれ込んで、わたしが長年愛聴してきたLP(両者共にCD化されています)の指揮者がプレートルです。

彼の第九は、実にチャーミングです。もう84歳(録音時は82歳)のプレートルは、実に若々しく情感豊かです。若い指揮者よりもずっと音楽が瑞々(みずみず)しく、色っぽいのは不思議です。響きのふくよかな美しさは、今はすっかり失われてしまったものですが、明晰で緊迫感をもった大迫力の演奏がしなやかで柔らかい音で奏でられているのですから、聴き手は大きな幸福感に包まれます。今年の年越しは、情感あふれる見事なプレートルの「第九」を!http://www.hmv.co.jp/product/detail/3307280
(このCDは音量レベルが低いので、ボリュームをあげてお聴きください)

「第九」と言えば、べートーヴェンのイデアをそのまま具現化したようなクレンペラーの演奏をあげなければいけませんが、1964年の大変貴重なDVD映像(クレンペラーは大のテレビ嫌いだが、危機にあったニューフィルハーモニー管弦楽団を救うためにテレビ撮影を許諾した)が、CDより廉価(輸入盤)で求められます(白黒映像ですが、かえってそれがよいのです)。
わたしは、全てのDVDから一枚だけ残せと言われたら、ためらうことなくこのクレンペラーの第九を残します。みなさんもぜひ。http://www.hmv.co.jp/product/detail/1481662

余談ですが、わたしにはクレンペラーのつくる音楽とセザンヌの絵画がいつもダブって見えます。このような深い真実を現した芸術を味わうのは、生きる至福です。もちろん、魅惑的で豊かな抒情のプレートルの世界に浸るのも最高の愉悦ですが。


武田康弘

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