思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

われわれの積立金=年金を安倍首相がばくち経済に投資ー10兆円の大損!(東京新聞)

2016-07-05 | 社会批評

安倍首相は、われわれが積み立てている巨額の年金を、株式投資に使い(24パーセントだった株式運用を50パーセントに変えた)、昨年度は5兆数千億の損失。今年もすでに5兆円の損失と試算されています。

株式投資は、株価の乱高下で、プラスとマイナスの差が大きく、それらに大金を投じるのは、「博打(ばくち)」の側面を強くもちます。

われわれの出したお金を、首相が、安定した国内債券で運用するのではなく、株式の売り買いという博打経済に用いるのはあまりに非常識で、常軌を逸しているといわざるを得ないのですが、

なぜ、われわれ主権者の権力を預かる総理大臣が、このような「イカれたバカ息子の道楽」のような真似をしているのでしょうか?

そもそも特定銘柄を買う・売るという株式運用に、極めて多額(140兆円の50パーセントで70兆円)の資金を、実際上、安倍首相の意向で決めるというのは、独裁国家の経済運用というほかありません。ヒトラーの「国家社会主義」の思想と同じで、日本版「国家資本主義」です。

日本中が、官僚も経済人もテレビ局もみなこの簡明な事実さえ認識しようとしません。みなで狂えば怖くない、狂っている人が正常で、健全な理性をもつ人が異常となります。まるで戦前の日本と同じです。集団同調する無思想な者がよき日本人となるわけです。

アベノミクスという極めて政治的・人為的な経済政策は、人間活動の物質的基盤としての経済を、政治的操作で動かせると思う妄想の上に成り立っていて、元から嘘でしかないのです。人々が健康で働きやすくする環境をつくる、人間性の豊かさを広げる経済思想をつくる、従業員のための企業活動を促進する、民主的でみなが参加できる会社経営をサポートする、一口で言えば、「一人ひとりの人間のための経済と企業活動」を生みだす条件整備をするのが、ほんらい、国家政治が行うことなのです。人為的な株価つり上げの政策は、必ず失敗し、国民みなを疲弊させます。「一部の大金持ちや大企業の利益のために国民は存在する」という非人間的な経済の代名詞がアベノミクスです。

必ず失敗する博打経済=アベノミクスを救うには、一つだけ方法があります。
特定の国の脅威という意識を国民に植え付け(テレビ操作で簡単にできます)、戦争への備えを当然と思わせ、実際に戦争を起こすことです(戦場は海外)。戦時経済は、健全な国民経済を破壊すると同時に戦争特需を生みだすからです。いま、政権はこの路線を模索しているとしか思えません。

 

安倍政治は、まず、NHK会長と経営委員を安倍晋三の息のかかった者とし、民放にも政治批判番組をつくらせないように圧力をかけ、

「国交回復40周年」目前で深まる日中関係を阻止するために石原慎太郎都知事(当時)が放った「尖閣列島の東京都買い取り」という秘策に乗り(民主党の元野田首相は同罪)、戦前思想の復活をめがける安倍首相は、関係を悪化させたのです。第二次大戦を日本の正義とした祖父の岸信介を敬愛する安倍晋三、彼のもつ靖国思想による帰結ですが、この敵対関係は彼が意図する「日本の国権強化」に役立ちます。

同時に、学校教育で愛国心を養い、こどもたちを「個人」ではなく、少国民とする(戦前の思想)改革です。ここでは、上からの子どもの型ハメで国民意識を持たせる=ニッポン人教育が柱となりますが、安倍首相の親友で「反人権宣言」(筑摩新書)の著者・八木秀次麗澤大学教授が登用されました。また、森(元)首相も明言する通り、オリンピックもナショナリズム高揚のために利用する、「君が代をしっかり歌わない選手は問題とする」
というわけです。

国際的には、親アラブの政策をとってきた歴代自民党内閣とは逆に、わざわざ戦時のイスラエルを訪問し、タカ派で知られるネタニヤフ首相と固い握手を交わし、ユダヤ教の帽子を被り親密な写真を撮り、反アラブを鮮明にしました。「テロとの戦い」という名目で、パレスチナ難民への無差別爆撃を支持し、多額の資金援助(われわれの税金)を約束し、武器の共同開発も1年前から始まっています。その結果、過激派に今までは狙われなかった日本人も、欧米のキリスト教者と同類とされ、危害を加えられることになりました。



自民党憲法案が通れば、天皇は元首となり「個人」という言葉はすべて消されます。いよいよ「第二次国体思想によるニッポン国」の誕生です。公共とは自立する市民による共同ではなく、おおやけと呼ぶ国家思想を体現すること、となります。結局、明治維新の国権主義に戻るわけですが、それを許すか、許さぬかは、われわれ一人ひとりの意志です。

話がそれたように見えますが、アベノミクスとは、政治力で人為的に経済を動かせるという妄想によるので、すべては一続きのことがらなのです。
なぜ、巨額の年金を株式投資に回してしまったのか(これは犯罪的な行為です)は、もうお分かりのことでしょう。人為的操作のために資金が必要だからです。ありえないこと、してはならぬこと、必ず失敗することをしているのが、いまの安倍政治です。すべてが終わってからでは遅いです。選挙に行きましょう!!


武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室・客員)

 

 

 東京新聞・7月5日朝刊一面






 

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