とても気分がいい!
いま、遠く横須賀芸術劇場(京浜急行線の汐入)から帰宅。
ノットさんのブルックナー8番の見事な名演に心身が解放され、とても爽やか。
それにしても、東京交響楽団の充実ぶりには驚く。弦の透明で美しく明るい音は、日本の他のオケからは聴くことがない。
弦のみならず、ブルックナーでのホルンや4本のトランペットとトロンボーンもよく、全体の流れも滑らか、強奏になっても品位が高く、粗野や野暮とは無縁。
いま、間違いなくノット・東響は、技術のみならず音楽性の豊かさにおいても世界レベルと思う。こんなに凄い演奏していいの?(笑)。
ノットさんの指揮、わたしはまだ二度目ですが、この人の解釈の普遍性と現代性は抜きん出ている、と思います。
4月に聞いたブラームスのドイツレクイエムにしても、晦渋や重さ、ドイツ的地方性とは異なるコスモポリタンな普遍性のある演奏でしたが、それは味が薄まるとか軽さとは無縁で、現代に生きる見事なブラームスでした。頭も感じる心も身体もすべて優秀でなければなしえない演奏で、心底、感動しましたが、
今日のブルックナーも同じで、特定のコアなファン向けの演奏ではなく、万人に開かれた豊かな音楽でした。輝き、大きな自信にあふれた演奏は、ほんとうに見事でした。快感!
彼の演奏を聞いていると息が楽になります。どこにも無理がなく、テンポも解釈も自然で気持ちよいのです。音楽が塊にならず、解放感にあふれ、大曲なのに聞き疲れするどころか元気になります。
頭脳明晰なノットさんは、細部までよく考え抜いていますので「独創的」なはずですが、まったくそうは聞こえないのです。実にスムースで、のびやかです。
素晴らしい指揮者との出会いで、いま、東響は黄金時代を迎えているようですが、今秋には70周年でヨーロッパ演奏旅行をするとのこと、ますます目が(耳が)離せない!
最初のモーツァルトピアノ協奏曲20番は、ソリストの内面性が乏しく、音の外形ばかりでまいりましたが、小編成の東響の弦の美しさはため息が出るほどで、心に染み入りました。ノットさんのモーツァルト解釈は明解で現代的ですが、心からの歌があり、今年12月の演奏会形式による「コジ・ファン・トゥッテ」が楽しみです。秋からの演奏会は、全部買いました。
なお、写真のように、オケが引き上げてもなお拍手とブラボーが鳴りやまず、ノットさん一人がまた舞台に。