★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

青春の終焉とクソムシが

2013-07-30 18:21:37 | 文学


『青春の終焉』を検討しているので、いろいろと思うところはあるのであるが……青春というと思い出すのは、わたくし自身の師匠の論文と、ショスタコーヴィチがハチャトリアンを「青春はまだ終わってないよ」と慰めたとかいうエピソードである。わたくし自身は、個人的に青春が終わったとか近代文学が終わったとか感じるのはまだいいとしても、時代とか世代に関係づけてそれを論じるのを好まない。それはその時代やら世代が本当は如何にそうあったかを忘れさせるものである。戦後の「青春」の隆盛は、敗戦国の経済成長ぬきには考えられないのではあるまいか。右の「クソムシが」「悪の華」という漫画でも、中学生が主人公である。中学生は、まだ大人への敗北と成長神話が残っている時期なんで……、青春が存在する。というのは、嘘であった。読んでみたら単に楽しい変態の話だった。