そんなに美しいものなら 2014-05-09 23:18:20 | 文学 鹿や猪や兎や亀や鼬や狸や狐が押合いへしあいして赤い蝋燭を覗きました。すると猿が、 「危い危い。そんなに近よってはいけない。爆発するから」といいました。 みんなは驚いて後込しました。 そこで猿は花火というものが、どんなに大きな音をして飛出すか、そしてどんなに美しく空にひろがるか、みんなに話して聞かせました。そんなに美しいものなら見たいものだとみんなは思いました。 ――新美南吉「赤い蝋燭」