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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

反復

2015-09-01 01:13:23 | 音楽
好きな曲であるが、よくも同じような旋律でよくも30分以上もやってられると感心する。(スクリアビン交響曲第三番「神聖な詩」)
https://www.youtube.com/watch?v=jbiU9lBPv7w


「ガマズミよ、ガマズミよ、私のガマズミよ!庭には私のエゾイチゴが、エゾイチゴの実があるよ」こんなことを言っているらしいのだが、繰り返し繰り返し恐ろしい勢いである。(赤軍合唱団の「カリンカ」)
https://www.youtube.com/watch?v=_XxK2JJisEc


対して日本では……

 反復は熟達の母である。多くの需要は多くの供給を招き、多くの製作は限りなき反復を求める。反復は遂に技術を完了の域に誘ふ。特に分業に転ずる時、一技に於て特に冴える。同じ形、同じ絵、この単調な循環が殆ど生涯の仕事である。技術に完き者は技術の意識を越える。人はここに虚心となり無に帰り、工夫を離れ努力を忘れる。彼は語らひ又笑ひつつその仕事を運ぶ。驚くべきはその速度。否、速かならざれば、彼は一日の糧を得ることが出来ぬ。幾千幾万。この反復に於て彼の手は全き自由をかち得る。その自由さから生れ出づる凡ての創造。私は胸を躍らせつつ、その不思議な業を眺める。彼は彼の手に信じ入つてゐるではないか。そこには少しの狐疑だにない。あの驚くべき筆の走り、形の勢ひ、あの自然な奔放な味はひ。既に彼が手を用ゐてゐるのではなく、何者かがそれを動かしてゐるのである。だから自然の美が生れないわけにはゆかぬ。多量な製作は必然、美しき器たる運命を受ける。

――雑器の美(柳宗悦)


おまけ

「トロイメライ」ってつまんない曲だよなとか言っていた中学生の俺をぶん殴りたい。