今話題のフジテレビの元アナウンサーのフォトエッセイ「透明を満たす」を
アマゾンのKindle版(電子図書)で読んだ。
事件後PTSDの症状に陥り、食べられない、歩けない、眠れない、死にたい
等々地獄のような長い時間を過ごした後に、新しい人生をスタートさせるまでの
心模様を描いた作品で、ややもすると忘れ勝ちとなる「生きるうえで大切なもの
は何か」を教えてくれる好著だった。
「加害した人たち」と敢えて複数形で表現したのは事件前後のフジの対応に不満
だったためかもしれない。
PTSDに対する周囲の無理解は同様の被害に遭った伊藤さおりさんも著書
「ブラックボックス」で嘆いており、最近では検事正からの加害で裁判沙汰と
なっている大阪地検の例もある。
この種の事件や病が表沙汰になるのは「氷山の一角」でしかない。
著者が苦しい一年半を過ごした後に元気を取り戻し、本書を著したことは同じ
病に悩む人達の大きな心の支えになると共に「魂の殺人」とも称される犯罪行為
の抑止にも繋がるものと期待したい。