簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

原川から名栗 (東海道歩き旅・遠江の国)

2020-10-12 | Weblog


 仲道寺を過ぎると旧街道には、所々に見事な松並木が残されている。
途中に「椎の木茶屋」の言う看板を掲げた食事処があった。
その昔原野谷川を渡る同心橋の袂に大きな椎の木が有り、それに因ん
だ屋号という。
かつては掛川藩主の御休息処として建てられたもので、その後下附さ
れ茶屋として街道筋で店を開き、明治天皇も御休息されたという。



 その先の道にも、両側に見事な原川の松並木が残されていて、道幅
も当時のものを思わせる風情が、何とも気持ちよく歩かせてくれる。
それを抜けると原川の集落に入るが袋井へは33丁(約3.6㎞)を残す地
で、間の宿として賑わったところだ。
町並に当時のものは何もなく、ごく平凡な通りである。



 それに続く名栗の里は、花茣蓙が名物として知られていて、それを
売る店が街道筋には軒を連ねていたという。46軒ほどの戸数があり、
立場として知られた地で、金西寺の原川薬師と呼ばれる阿弥陀仏に供
える薬師餅を提供する茶店や、甘酒屋が並んでいたらしい。



 『当地に三ツ池という池が有り、池端で草刈りをしていると呼ぶ声
が聞こえてきた。見れば泥の中から仏様が顔を出されている。
それからというもの日々お参りするようになった。
そんな雨の降る日村人は自分の笠を仏様に被せて帰ったといい、以後
村人は「笠佛」と呼ぶようになった』(金西寺の薬師瑠璃光如来縁起)



 その先で一旦国道1号線の下を地下道で抜け、越えたところで国道に
出て同心橋を渡ればいよいよ袋井市に入る。
下を流れるのが原野谷川だが、屋号となった椎の木の大木は今は無い。
橋の袂に小さな「名栗花茣蓙公園」が有り、祠が祀られているだけだ。(続)





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