簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

間の宿・手越 (東海道歩き旅・駿河の国)

2020-04-03 | Weblog


 長さ490.9mの安部川大橋を渡る。
下流側に歩行者・自転車用の通路が設けられているので、車に心配す
ることもなく快適に歩くことが出来る。川は幾筋にも分かれて流れて
いるせいか、さほど水量は多くはなさそうだが、それでも右岸に近い
辺りでは結構な川幅で、可成りの水流で下っている。



 当時の歩き渡しは、この橋の50mほど川下から堤に上がったという。
現在は堤防が築かれ流路が定まっているが、当時は広範囲に幾筋もの
流れが出来ていたであろうが、あえて深みを渡らされた弥二さん喜多
さんは、どのあたりを渡ったんだろうか?等と、思いを巡らしながら
川を眺めるのも面白いものだ。



 渡り終えたところが間の宿・手越である。
通常、間の宿は宿場間の距離が長い場合などにその中間地点に開かれ
ることが多いが、府中から次の宿場・丸子までは一里十六丁(およそ
5.7㎞)と短いので、ここは川留め対応の宿場である。



 吾妻鏡や平家物語にも「手越の古駅」として登場し、鎌倉街道の宿
駅として、当時は府中よりもこちらが栄えていたという。
今は落ち着いた静かな街並みが続いているが、当時のもので残るもの
はほとんど無いそうだ。



 川の西詰に史跡の案内板があり、「千手の像 平家物語 能・千手
に登場」とある。

 この地で生まれた長者の娘・千手の前は北条政子の女房として仕え
ていた。そこに一の谷の合戦で敗れ捕らえられた平家の公達・平の重
衡が送られてきて、その世話を命じられたのだが、何時しか恋心が芽
生えてしまう。その後重衡は、奈良に送られ木津川で処刑されると、
千手も後を追うように亡くなったというお話だそうだ。(続)



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