正月の赤富士の掛け軸を降ろした。そして、気分を上げるために殿が買った「昇鯉」の掛け軸を飾ることにした。
この掛け軸は、わたしがいつも行っていた呉服屋の華やさんで、掛け軸を売っていたので殿を呼んだ。以前から「鯉の滝昇り」の絵か、掛け軸を欲しがっていたからだ。そして、迷うことなく決めた。
「家にはお宝がないしなあ」これをお宝にしようと奮発して買った。ん十万??わたしはちびまる子みたいに「あんたがお宝だよ」と、言いたかったが、本人が欲しがっているのだから何でも買えばいいと思った。この時、殿は残り少ない人生に何かを残したかったのかもしれない。欲しいものは何でも買った。一生分買えばいいと思った。
わたしは生物学的に、次世代を残したらもう何も形に残るものは残さず、さっぱりいきたいと思っていたが、それは余命宣告された殿の心境を知らないから言えることかもしれないと思ったので、殿の思い通りに高額の掛け軸を買ったのだった。
うろこが光っている。床の間で開運らしく跳ねている。しかし、この後3月に殿は逝った。箱書きには「平成26年1月」と、ある。残されたわたしたちの開運を祈ったのか。奇蹟が起きて病気が治りたいと思ったのか。今では分からない。
分からないけど、綺麗だなあと思った。これを眺める余裕があることがいい事なのかもしれないと思った。今更出世もないし、落ちる滝に立ち向かう力もない。
二匹の恋がパパさんと
寄り添う
二人の姿が見えますよ
ありがとう。
今年で5年になります。
一緒に、利き酒会に呼んで貰ったことを思い出しました。
娘が一番当てていたような気がします。
また、機会があったら飲みましょう。