マスク
2020-09-09 | 読書
向田邦子の『無名仮名人名簿』に、「マスク」という随筆がある。
「舗道にマスクが落ちていた。」と、いうところから始まる。
そして、「と、ポケットにしまっておいたマスクを鼻にもっていった時の、寝臭いような息の匂い」というところで、おや??と、思った。
ねぐさい・・・と、いう言葉にひっかかったのだ。
「寝臭い」は、石川県の方言だと思っていた。標準語だったのか?と、辞書を引くと、ちゃんとあるのだ。「寝床から匂うようなくさみ・・」とか。
でも、この辺で使う使い方は、腐ったような・・とか、古びたようなことを指す。
「ねぐさい話し、しなんなま」と、使う。「忘れかけたような古い話をしないで・・」と、言うような。
どちらにしても、良い匂いではないね。
さて、この「マスク」を書いたころの向田邦子は、みんながマスクをしなくてはならない今の様子を天国から見たらどう思うだろう。
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