きっと良くなる 必ず良くなる― 多重がんとの闘いの記録 | |
広野 光子 | |
PHP研究所 |
多重癌(重複癌)は癌患者の1~2%で、
癌家系に多いと言う事は以前にも書いた。
昔とは違って現在では癌であると言う事を
医師からハッキリと告げられる。
「癌です。」あるいは「癌の可能性があります。」と告知さられた時、
ショックを受けない人はいないだろう。
ショックの大きさは人それぞれで差があるかもしれないが、
この時の心境は告げられた人にしか解らない。
ショックのあまり取り乱したり、泣き出したり、
立ち上がれなくなる人もいるだろう。
これはあくまでも私個人の感想だが、
7年前に胃癌だと告げられた時は、
自分で言うのも何だが・・・冷静だったように思う。
しかし・・・2度目となると、
1度目の時よりも遥かにショックが大きい。
1度目は3人に1人は癌を患う時代だし、
自分は癌の家系だからと受け止める事が出来た。
何でもそうだが2度目となると、これは偶然ではなく、
自分が選ばれた人なんだと自覚せざるを得なくなる。
2度あることは3度あると言うではないか。
つまりこれからも癌から逃がれられないと言う事だ。
1度でもショックなのに2度である。
どれほどショックな事か・・・・。
例えば家族や身近な人に癌の人がいたとしても、
本人にしか解らない言葉で表せないものがある。
そしてこの事実を関係者に告げる時、
みなさんならどうするだろう?
出来るだけ明るく振舞おうとする人、
平常心で感情を込めずに伝える人、
ひどく落ち込んで言葉にできない人・・・
いろいろいるだろう。
また身近な人から
「癌なんだ。」あるいは、
「癌かもしれない。」と打ち明けられた時、
みなさんはどう答えるだろう。
医者も患者に対して、
癌である可能性が高いのか低いのかも伝えるので、
よほど気が動転していない限りは本人は解るものだ。
(あくまでも・・・私個人の見解だが・・)
一番イケナイのは、まるで他人事のように答える事だ。
「まだ決まったわけじゃない。」
「結果を聞いてからでもいいんじゃない」
「取っちゃえ!」
虫歯かもしれないとか、モノモライができたとかとは、
全く次元が違うのである。
それに癌の治療にもいろいろある。
外科療法(手術)、抗癌剤治療、放射線治療、免疫療法、
ホルモン療法、温熱療法、遺伝子療法、凍結療法・・・。
癌の部位や程度によって治療方法は異なり、
単に「取っちゃえ!」ば良いと言うものではない。
これこそ無知の極みである。
ショックを受けている人に対して、
上記の言葉は何の助けにもならない。
しかもこの台詞を身内に癌患者がいる人が発したりすると、
他人事かよ・・・・と思うし、腹が立つのを通り越して、
もう付き合うのを止めようとさえ思う。
話は変わるが思い出したので・・ついでに・・・
以前、胆石のヅラ上司に「お互い大変だったね。」と言われて、
ヅラ剥がしてやろうかと思った事があった。
7年前にも書いた事だが・・・
貧困や病気、窮地に追い込まれた時にこそ、
周りの人の本当の人間性が、不思議なくらい見えてしまうものだ。
いろいろ調べていたらボクシングの名伯楽エディ・タウンゼントもこう言っている。
「試合に負けた時、本当の友達が分かります。」その通りである。
では、どう答えるのが一番良いだろう?
「何か出来る事があったら言ってね。」
これがベストなのではないだろうか。
正直かなり嬉しい。
「私がついているから大丈夫。」
「一緒にがんばろう。」
こんな事を言われたら涙が出る。
幸いにも私は友人に恵まれており、
このような状況でも、さほど落ち込まずにすんでいる。
「ありがとう。心から感謝しています。」
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