演技派イルファン・カーン主演、
共演はパキスタンの女優サバー・カマル。インド映画初出演。
現代インドにおけるお受験がテーマの作品。
皆さんが誤解しているといけないので説明しておくが、
インド人全員が英語が話せるわけではない。
基本的には授業を英語で行っている学校で勉強した人でなければ、
きちんとした英語は話せない。田舎ではヒンディー語か、
地方の方言で授業が行われて学校もある。
その辺のオート・リクシャーのおっちゃんも話せはするが、
けっこうインチキだったりする。
そしてインドでは英語が話せないと馬鹿にされる。
英語教育のある学校に行けない貧乏人だとか、
教養がないと言われる。英語ができると良い仕事に就ける。
良い仕事に就けると言う事は給料がたくさんもらえる、
と言う事だ。日本語などの外国語を勉強する理由もそれである。
日本でもヒットしたインド映画「きっとうまくいく」(2010年の作品)で、
主人公ランチョー(アーミル・カーン)が身代わりとなった子供の父親が、
自分は金持ちにはなったが、世間の人は学がないと陰口を言う。
だから息子にはデリーの有名大学を卒業したと言う証書が必要だと言った、
そのシーンにも、それは現れていた。
現代の親は子供を英語教育を受けられる学校に入れたり、
小学校から大学までエスカレーター式の学校に入れるために、
とてつもないお金をかけている。それが現実である。
<ストーリー>
少年時代のラージ(イルファーン・カーン)は仕立て屋で働いていた。
その時に知り合った少女ミーター(サバー・カマル)と結婚し、
今では大きな洋服屋のオーナーに成り上がった。
2人にはピアと言う娘がいる。
英語が出来ないラージとミーターは、
ピヤをなんとか英語で授業をする有名な小学校に入れようとするが、
簡単ではなかった。その手の学校は親の教育レベルや住居まで調査する。
そこで下町のオールドデリーから南デリーの高級住宅地である
ヴァサント・ヴィハールに引っ越し、
にわかセレブを演じるが、受験した学校全てに合格できなかった。
ヒンドゥー教徒なのにシク教のグルドワーラー(寺院)や
イスラム教のダルガー(聖者の墓)やキリスト教会にまで祈願に行く様は、
滑稽であったが・・・。シク教の総本山のアムリトサルの黄金寺院や、
デリーのニザムディン廟、アジメールのダルガーには宗派を超えて行っているが。
落胆している所にラージの店で働いているスタッフがやって来て、
自分の子供がある有名校に合格した事を告げる。
実は学校には貧困層のための優先枠があるのだ。
そこで今度は貧困層枠で入学させようと、
一家は貧民街に引っ越すが、よそ者には厳しい環境だった。
なんとか苦労を乗り越えてピアは抽選で入学できたが、
1人だけ親切にしてくれた隣人の息子は抽選に漏れてしまう。
ラージとミーターは罪滅ぼしに匿名で、
その息子が入学する貧困街の学校に寄付をし、
学校のメンテナンスをしたり、英語のテキストを贈ったり、
英語の授業も行えるようにした。
それに感激した隣人がラージの家だと知らずに、
寄付してくれた人の家を訪ねる。
ラージは使用人だとなんとかごまかそうとするがバレてしまう。
良心の呵責にさいなまれたラージは校長に掛け合うが相手にされない。
そこで全員の前に出て演説をする。
そしてピアを退学させ貧困街の学校に入学させるのだった。にほんブログ村