カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

インド 第三の性を生きる― 素顔のモナ・アハメド。

2013年02月25日 21時42分59秒 | インド / INDIA
 インドには「ヒジュラ」と呼ばれる第三の性の人々がいる。
平たく言えばオカマさんなのだが、この本を読んで、
男でもなく女でもない第三の性と言うのが正しいのだと判った。
彼女によると男の身体をして女の心を持った人間である。
女になりたい男とは違うと言う事らしい・・・。

またヒンディー語のヒジュラには差別的なニュアンスがあるらしく、
本人はユーナックと言っているので、ここではユーナックと言う事にする。
これは私(右側)がナーシックの寺院で出会ったユーナック(左側)である。
                


通常インドではユーナックはお祭りや結婚式に縁起物として呼ばれ、
お金をもらう事で生計を立てている。

インド 第三の性を生きる―
素顔のモナ・アハメド
モナ アハメド,ダヤニタ シン
青土社


 アハマドと言う男性の名前から判るのだが、
主人公はムスリム(イスラム教徒)であった。
私はユーナックはヒンドゥー教徒だけだと思っていたので驚いた。

この本は、彼女が出版社の編集長であるウォルター宛に書いた、
メールをそのまま翻訳しており脚色していない。
つまり全てが彼女の経験であり、考え方や感情の動きまでもが、
あからさまに書かれているのだ。

彼女はユーナックのコミュニティを離れて、
オールドデリーにある墓場に住んでおり、
通常のユーナックとは違う生き方をしている。
ユーナックとして生まれてからの苦悩、
家族との関係、様々な葛藤、
コミュニティから離れざるを得なかった理由、
養女との関係、友人との接点、心の孤独・・・
知るすべもなかったユーナックの実情が垣間見られた。

彼女の友人である写真家ダヤニタ・シンが撮影した写真が、
メールを飾るように散りばめられており彼女をとても身近に感じる。
これが書かれたのは2001年で10年以上も前だから、
今でもオールドデリーのそこに彼女がいるかどうかは解らないのだが。

TVではインドの良い部分だけを切り取って放送しているが、
公開される光の部分だけがインドではない。
映し出されるのは20%程度の上層部にすぎない。
インドで生活していれば影の部分もたくさん知る事になるが、
さすがにこんな特殊な所までは見る事はできない。

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