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連載・特集 » 浅野秀弥の未来創案
浅野秀弥の未来創案
【都知事選の勝利者は誰か?】
2016年8月18日大阪日々新聞
無党派300万票の重み
突然の出直し東京都知事選は、政党の支援を一切受けなかった小池百合子氏(64)が、約300万票近い大量得票で勝利した。党本部は当選した小池氏と融和策を図り、一方の都議会自民党幹部は石原伸晃都連会長を含め全員辞職し完全に白旗を揚げた格好だ。
小池氏支援を、水面下でいち早く打ち出していたのが官邸筋からのひそかな要請による政権補完野党だ。おおさか維新は表にこそ立たなかったものの盟友である名古屋の河村たかし市長が小池氏の応援に入っている。公明・創価学会は、常に“勝ち馬に乗る”体質だけに、こっそり裏面で接触を試みたことは想像にかたくない。
官邸筋が最も警戒した野党統一候補の鳥越俊太郎氏(76)は、週刊誌の古色そう然たる女性スキャンダルで早々につぶせた。官邸の大新聞やテレビ局だけでなく、週刊誌も含めたメディア操作能力はさすがだ。
最終的に「小池VS増田」なら、官邸はどっち転んでも損はない。終盤戦で小池氏勝利を察知し、自民党都連末席の区議らがなだれを打って支援に回った。週刊誌でたたかれ出した内田茂・都連幹事長(都議)を悪役に仕立て「都政刷新」の旗を振り始めた連中もいる。
小池氏が当面自民党と妥協したら、今回の選挙で大きな得票を与えた無党派層をはじめとする都民の期待を裏切ることになる。小池氏が勉強会と称する「非自民地域政党」を立ち上げる気配をみせ、これのお先棒を担いだのは旧みんなの党系など「来年の都議選で当選ラインがみえない」連中だ。自民党議員の中でも、「何とか小池ブランドを利用したい」と垂ぜんの連中も多いから、都市部独特のイメージ戦略が着々と広がっている。
ただし小池知事がお維や公明との連携を水面下で深めていくと、ある時点から官邸と裏で妥協していかざるを得なくなる。今の官邸は、知事や市長などの肩書を得た党外の人間を取り込むのが得意中の得意。その甘い“権力の誘惑”に小池氏がやすやすと乗らないように願うばかりだ。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。