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食卓用のアルコール系除菌剤。ポンプ、スプレー、シートなど形状はさまざま
(産経新聞)
インフルエンザが猛威をふるい、この冬の累計患者数が先週、ついに推定1千万人を突破した。A型、B型の同時流行が背景にあるとみられ、専門家は「2回かかる可能性もある」と指摘する。人混みでせきが出たら腕を口にあててウイルスをまき散らさない「せきエチケット」、家ではアルコール系除菌剤でふき掃除などを習慣化することで、感染の予防が呼びかけられている。(牛田久美)
◆ウイルスの経路
「インフルエンザの予防は、よいとされることは全部やる、それが大切です」
そう言葉に力を込めるのは、国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)の永井英明呼吸器センター部長。インフルエンザは例年、A型の流行の終わりにB型の発症が少しみられるが、今年は「A型とB型が同時発生している。どちらかに一度かかった人も油断してはいけない」と語る。
予防は経路を知って遮ることが大切。ウイルスは、せきやくしゃみで飛び出して人にうつる。物にも付着する。「はなをかんだ手でドアノブを触ったり、せきで口元を押さえた手で電車のつり革を握ったりすると、そこにもウイルスがつきます」
ウイルスに触れ無意識に鼻や目を触ったりして感染するため、せきなどによる「飛沫(ひまつ)感染」、手指を介する「接触感染」の両方に気をつけることが大切という。
◆マスクはW型に
永井先生によると、マスク、手洗い、うがいはそれぞれコツがある。飛沫感染を防ぐマスクは「隙間からウイルスが入るのを防ぐため、耳にかける前にガイドの金属部を折って、鼻のカーブに密着させる」。マスクはのど(気道粘膜)を潤して体を守るほか、感染してしまったとき周囲の人にうつさないせきエチケットにもなる。
帰宅したら、接触感染を防ぐため「手に付いたウイルスを家に持ち込まないようしっかり手を洗う」。うがいは、すぐ上を向いてガラガラとするのでなく、まず水を口に含んですすぐ。「クチュクチュペッと何度もすすいでから、上を向いてのどの奥もうがいをする」のがコツという。
永井先生は「せきエチケットを心がけよう。急にせきが出たら、服の袖で鼻や口をふさぐと、ウイルスが散らばりません」。
袖を用いたせきエチケットは広がっており、東京都も今年度の啓発ポスターに、江戸の着物姿の女性が袖を鼻と口にあてる様子を描いた。電車内など人混みでマスクやハンカチがないとき、ぜひ習慣化したい。
◆アルコールで除菌
市販のアルコール系除菌剤では「食卓用」が出そろった。ポンプ、スプレー、シートなどさまざまだ。
ポンプ式が特徴のジョンソン「カビキラーアルコール除菌食卓用」は、ティッシュペーパーなどを載せて押すとアルコールが染みてさっと拭ける。「開発時、食卓に置けるシンプルな容器を意識した」(同社マーケティング部)というデザインが受け入れられ、詰め替え用も販売開始。利用者から「手軽で、夫がよく拭くようになった」という声が寄せられるという。
スプレー式の代表格、花王の「食卓クイックルスプレー」も直接スプレーしたり、ペーパー類に噴射して家電を拭ける手軽さが好評。「食卓やいす、ベビーチェア、床、ドアノブ、冷蔵庫の扉など幅広く使われている」(同社広報部)。フマキラーの「食卓用アルコール除菌スプレー」は柑橘(かんきつ)系の香りが特徴だ。
このほか、花王の「食卓クイックルウエットクロス」、大王製紙の「エリエール 除菌できるアルコールタオル」など、さまざまな形態の商品が登場。家庭内の接触感染の予防に一役買っている。