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浅野秀弥の未来創案
【対決強める法定協】
2018年2月8日 大阪日日新聞社
自民は他党に本気度示せ
大阪市を廃止する「特別区」か、市を残し行政区の機能強化する「総合区」かを議論する法定協議会(法定協)の話し合いが熱を帯びている。しゃにむに今秋の「都構想住民投票」を目指す維新の会に対し、自民、公明、共産の各党は対決姿勢を強めている。
私は、自民と公明の国政与党が、共産や民進系の反維新勢力と結んでこうして対立する構図を、よく安倍総理や菅官房長官が口にする「野合」とは決して思わない。府市議会で過半数を持たない維新の会による他会派への懐柔工作こそ「野合」と呼ぶにふさわしい。今秋の住民投票を阻止しようと活動している市民グループも地道に頑張っておられるが、現実問題として都構想反対署名や知事・市長のリコールの運動は時間的にも困難だ。
大阪の自民党は、大阪においては長く参院選や地方選で一敗地にまみれてきた。その結果、橋下政治体制が長く大阪を支配し、改憲という共通点で安倍首相は、自民党を飛び越えてシンパとして彼らと手を握るに至った。反維新の旗を掲げた大阪の自民は、いわば挟み撃ちに遭ったような状態に落とし込まれている。その構図を段取りしたのは菅官房長官であり、現在の“安倍一強”体制の中では政治日程的に、今秋の自民党総裁選が終われば国政には大きな風は吹きそうにない。
しかし大阪は秋の住民投票結果が、来春の統一地方選での府議、市議選びをはじめ、年末の府知事、大阪市長のダブル選に大きく影響する。中選挙区の府議・大阪市議選は各党が一丸となって維新の複数議席獲得を阻止する協力体制を模索すべきだ。統一地方選に勝てなければ、年末の首長選挙への共闘体制確立は到底おぼつかない。
大阪の自民党国会議員は官邸と波風を立ててでも、維新政治を覆す意気込みを今こそ住民に示さないといけない。府議・大阪市議選のレベルで考えると、前回大敗しほぼ消滅した格好の民進の流れをくむ立憲が、雪辱を期して強い候補者が立ってくる。これで自民が本気で維新から保守票を奪い返す気概を内外に示せば、左右両方からの大きな波となって維新に襲い掛かれるだろう。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。