青い山脈<本澤二郎の「日本の風景」(3806)より、転載させて頂きました。

<いま日本が出来ること、それは大規模な北朝鮮人道支援>

 今日は広島に原爆が投下された日だ。まもなく敗戦の8月15日がやってくる。何やら今のA級戦犯の遺伝子内閣ゆえか、1945年のような感じがする。

 昨日、偶然、YOUTUBEに敗戦後、東宝映画が製作した原節子主演の「青い山脈」を見つけ、つい名画を見てしまった。原作は石坂洋次郎。朝日新聞が日本国憲法施行翌月から連載、その映画化である。

 

 青い山脈とは、日本民主主義を象徴する言葉ではないだろうか。生まれ変わった日本が、今直ちになすべき大事業は、北朝鮮に対する大規模な人道支援ではないだろうか。

 

 平和憲法を尊重し、擁護する政府であれば、過去の反省と謝罪を込めての人道支援である。1日で関係正常化して、平和友好条約を締結、拉致問題は一瞬にして処理できるだろう。

 

 平和国民の願望でもあろう。議会・霞が関に強く要望したい。

 

<他人を慈しみ、思いやりのある外交が、憲法の基本的立場>

 今も韓国の王朝テレビドラマ「イ・サン」をPCで見て楽しんでいるが、儒学を帝王学として叩き込まれている王は、いまの日本の安倍・自公・日本会議の政府と異質である。修身斉家失格の権力亡者のような人物による悪政は、即座に正される。

 

 そこでは派閥間の権力争いはすさまじく、相手を打倒するためには、安直な殺し合いも行われ、政権の維持は容易ではない。そうした中でも、民心に思いをはせる王は、聖君と呼ばれ、政治の安定の基礎として歴史を飾る。

 

 

 今幸いなことに「イージスアショア」なる、あまりにも悪質で、イカサマの玩具でしかない武器の購入が止まった。具体化させると、10年で数兆円もかかる玩具の武器だ。

 

 「武器に無知な中谷とか小野寺などがしゃしゃり出て、今度は敵基地を叩くミサイルを導入しようとしている。連中の目的は、血税投入による利権アサリそのもの。許されない」とこの方面に精通している人物は、怒り狂っている。

 「首相も、軍事オタクもど素人ばかり。口先で言葉遊びをしているだけ」との厳しい指摘もある。これを報道する記者が、またど素人の御用記者ばかりというのだから、税金を払う国民はたまったものではない。

 

 常識人間は分かる。超音速のミサイルを打ち落とせるミサイルなど存在しない。漫画の世界の話をまともに信じて、血税を無駄遣いするよりも、その金をいずれ支払わなければならない北朝鮮に、平和の人道支援に回す方が賢い。これが日本国憲法が、政府に命じている外交の本意であろう。

 

 寛容・慈しみ・思いやり・誠実が、本物の日本外交である。制裁を叫ぶ拉致家族は、極右政権の手先だと、まだ分かろうとしていない。北風のマントで、ことがうまく運ぶことはない。太陽政策だ。

 

 草木を眺めながら生きている人間は、太陽の偉大さに感動する。安倍晋三の健康回復は、太陽に当たることである。コロナも太陽が苦手らしい。

 

 

<義父・廣岡慎次は東宝争議下の総務部長、GHQと労組の板挟み>

 余談だが、東宝の「青い山脈」に飛びついた理由は、主演の原節子という絶世の美女が銀幕を飾っていたということではない。

 義父の廣岡慎次(富山県砺波市旧福光町出身)が、戦後の三大労働争議の一つ、東宝争議の場で東宝の総務部長という要職に就いていたため、GHQと労働団体の板挟みになって、厳しい立場に立たされた。それこそ、とことん苦労の日々を送った、そのためである。

 青い山脈は、その頃の作品に違いない。

 

 テレビのない時代だから、映画の影響力は絶大であった。すでに米ソの冷戦は始まっており、当局の共産党対策は、戦前の特高警察の復活を予想させていたろう。占領下においてGHQが権力行使の先頭に立っていた。両者の攻防戦には、戦車まで投入されていた。読売争議を超えていたであろう。

 

 

<長生きしてれば歴史の証人、石坂共に慶応ボーイ>

 妻の眞知子は高知市生まれだ。義父母が、高知県内の東宝映画館の支配人をしてるときに生まれた。

 義父が多少、長生きしてくれていれば、東宝争議について本を書くことが出来たろう。彼は、歴史の重要な証言者だったのだから。青い山脈の作者・石坂洋次郎は慶応ボーイであるが、義母のキヨノは夫を「三田の経済」と口走るのが癖だった。

 

 福沢諭吉が、財界・財閥向けに人材を養成するために創立した慶応大学には、経済人や政治屋の裏口ルートがあるのか、恵まれた家庭の子弟がほとんどだ。彼らの登竜門のような学校である。義父も石坂も、幸運な恵まれた家庭で育ったのだろう。

 それこそ1万円札の福沢から、この国の体制の質が見えてくるだろう。次は渋沢栄一だという。経済が主導する資本主義の日本だが、いま危機に立たされているが、内部留保500兆円は庶民大衆には無縁のようだ。

 

 誰かこれを引き出す知恵者はいないものか。

 

 戦前の日本は、財閥と軍閥による侵略戦争と植民地支配だった、と言えるわけだから、彼ら財閥は政府に先んじて、北朝鮮に人道援助を敢行してはどうか。

運が良ければ、北朝鮮の経済復興も夢ではない。

 日本の植民地支配が朝鮮半島を破壊しつくした点を考慮すれば、3兆円でも5兆円でも支援するのが、人の道・日本外交のあるべき姿である。また、拉致被害者が今も北朝鮮にいると信じる人たちは、こぞって制裁を叫ぶのではなく、人道支援に舵を切る時であろう。

 

 それで安全が確保出来るというのであれば、実に安上がりだ。政府・議会など関係機関は、これに率先して声を上げる時である。青い山脈が呼びかけているではないか。

2020年8月6日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)