誰も出来なかった25歳大臣秘書官<本澤二郎の「日本の風景」(4016)

<自身・身内のためなら公のルールを破壊する菅義偉の体質>より、転載させて頂きました。

 菅義偉は、国民のためにならない自公代表の首相である、新たな証拠が見つかった。彼は第一次安倍内閣で、NHKほか新聞テレビを監視できる総務相に就任すると、即座にドラ息子と評価されている長男を、大臣秘書官に起用した。25歳の政治未経験、無知な若者を政務秘書官に起用して、彼のために高額な血税を使って、給与・電話代・専用車をあてがった。

 

 今回の東北新社による総務官僚への買収供応事件の原因は、菅の国家・政府に対する卑しい価値観を露呈して余りある。すなわち、自身や身内のためであれば、公的なルールを平然と破壊するという、政治家が決して手を付けてはならない厳しい壁を破ってしまった。

 

 菅は公人失格である。自ら猛省して、その職務を辞する義務がある。ここに主権者を代表して宣言したい! 

 

 

<政治未経験の親泣かせ?息子を理由なく内閣辞令の政務秘書官起用>

 32歳で政務秘書官をした人物は、それまで自民党本部職員として外交・公安部門を担当、その後、請われて代議士秘書になると、麻薬対策・右翼問題にも首を突っ込んだ。代議士が予算委員会の委員長時代は、予算の勉強もしていた。

 

 小泉純一郎の姉の信子は、27歳か28歳で父親の秘書官を歴任したが、彼女がこれまでの最年少記録で知られる。理由は、父親の身の回りや事務所での陳情をこなしてきたからである。

 

 菅の長男・正剛は、立派な名前のようだが、政治は未経験・無知だったのだが、菅は大臣秘書官に前代未聞の大抜擢起用した。これが当時、記事にならなかったことは、電波を握る恐怖行政のせいだった。

 

 NHK人事を牛耳り、気に食わない報道に圧力をかける菅について、筆者は最近になって分かった。NHKについての情報不足だったことを、反省するばかりである。NHKを公共放送から、安倍広報に変身させた悪しき行政権力魔に、安倍も安心して官房長官を任せたものであろう。その結果としての7年8か月だった。

 

 悔しいことは、NHKがこれほどもろい国民の報道機関であったことである。しかも、いまだに覚醒の動きが見られない。NHKが悪しき権力を批判することが出来れば、自公政権は1日で倒れることを、NHKに対して諫言しておく必要がある。

 

<安倍晋三でも出来なかった三段跳び・四段飛び人事>

 菅が支えた安倍晋三でも、父親の晋太郎は、政治経験の薄い息子を許さなかった。晋太郎は、外相時代の過労と日ごろの徹夜マージャンで倒れてしまうが、A級戦犯の岸信介の長女・洋子をよく泣かせていたという。

 

 清和会OBが、安倍家の内情に詳しい。晋太郎は女遊びも激しかったという。「彼女を料亭での徹夜マージャンの隣室に寝かせていたほどだった」とは、永田町でも有名な話として、筆者の耳に入っていた。清和会OBの仲間の安倍秘書が、そのことを吹聴していたというのだ。それを知った夫人が精神的に参ってしまったらしい。

 

 晋太郎外相は、最初に起用した事務所の秘書官を更迭した後、晋三に後継させている。それ以前は「父親のカバン持ちをして、北海道のススキノで活躍していた」と同OBは話している。

 

 要するに、政治的未経験の息子を突如、秘書官に起用した例は、過去にはない。菅の暴走抜擢人事を露呈して余りあろう。

 

<官房機密費86億円の使い道も判明か>

 時には、公のルールを、自己や身内のためになるのであれば、それを強行して全く恥じない、政治家ではない政治屋の典型人と断罪するほかない。

 

 そうしてみると、日本共産党の赤旗新聞が、菅が官房長官時代の官房機密費のうち、領収書なしの86億円の使途不明金の中身が見えてくるだろう。共産党は、菅の体質を総括、そのうえで86億円問題を追及すると、この中身がどういうものだったかが分かる。国民すべてが頷くに違いない。

 

 

<名声と利権のための電通五輪強行と甘すぎるコロナ対策=砂上の楼閣>

 米バイデン大統領は、電通のための東京五輪に、選手を派遣するのかどうかについて「科学で判断する」と、実に明確な物差しを示している。

 

 昨夜遅く菅は、一都三県の緊急事態宣言を2週間延長するという、敗北方針を打ち出した。不人気政策判断ゆえに、真夜中の会見設定というのも嘆かわしい。

 

 「二週間延長の根拠があるのか」については、むろん、コメントできなかった。同席した専門家?は「コロナは年内に終わらない」と白旗を掲げている。年内どころか、数年は収まらない新型コロナウイルスである。

 

 それでも電通五輪ゆえに、金と名声のために強行するのだという。人命よりも、自己の名声と利権アサリに賭けているのである。人命という一番の価値よりも、自己の政権のために、ともかく強行したい。議会・官界もついてこい、の一点張りなのだ。

 

 砂上の楼閣であると、断罪するほかない。

 

<自助・共助・公助の宣伝は国民を欺くためのスローガン>

 公私混同は、安倍事件の数々が証明している。日本において、公私混同は許されない。戦前の日本と違う。民主主義を熟知した主権者の国である。

 

 政治屋の利権アサリのための公私混同は、許されるものではない。自助・共助・公助を吹聴する菅の、化けの皮は剥がされた。

 

 日本の民主主義は、戦後に敗戦でもたらされたものではない。明治の悪政下において、識者は知り、それを発展させてきている。日本に留学した隣国の研究者は、日本で民主主義を知った。それ以前には、大正デモクラシーが、公然と気を吐いていた。宇都宮徳馬から、よく聞かされたものである。

 

 

<猛省して辞任することで、後世に範を垂れよ=天の声>

 軍国主義に対抗して、命を懸けた自由主義者・共産主義者らが存在した日本である。民主主義は、いまの日本国憲法がしっかりと規定、それを公人に対して尊重し、擁護する義務を課している。

 

 菅よ、時間を見つけて憲法を読んでほしい。恥じるところがあれば、進んで辞任すべきである。後世の範を垂れよ、これ天の声であろう。

2021年3月6日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)