「そのスマホであなたは失明する」【眼球変形、網膜剥離、緑内障】思わぬ重大リスクが次々と…《注意》

今や生活から切っても切れない存在となったスマホ。家族や知人への連絡や調べもの、テレビ視聴など、ほぼすべてをスマホ1台でまかなうという人も少なくない。しかし、注意を怠るとそこには甚大なリスクが潜んでいる。
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『「スマホで失明」危険度チェックリスト…注意したい「急性スマホ内斜視」とは【手術しても治らないことも】』より続く。
スマホの長時間使用によって引き起こされるのは、急性内斜視だけではない。眼球そのものが変形してしまうこともある。
黄斑変性症リスクが850倍…

「近業(手元など、近くのものを見る作業のこと)を続けていると、毛様体筋(レンズの役割を果たす水晶体の厚さを変えるための筋肉)が緊張・収縮して凝り固まってしまいます。こうなると、遠くのものにピントが合いづらくなる。つまり、一時的に『近視』の状態になるんです。
この『一時的な近視』を自覚した時点で投薬や治療をし、スマホ中心の生活から脱却できれば、視力が大きく落ちるリスクは低い。しかし、それでもなおスマホを見続けてしまうと、近視が進行する場合があります。それに伴って、眼軸長が伸びていき、球形だった眼球は、楕円形に変わってしまうのです」(新江古田いわた眼科院長の岩田進氏)
眼軸長とは、眼球の表面にある角膜の頂点から、眼球の奥にある網膜上の「黄斑部」までの長さを表す。成人を迎えた日本人の平均的な眼軸長は約24mmといわれており、それより短ければ遠視、長ければ近視の症状が現れるとされる。
近視の進行によって眼球はどんどん倒したラグビーボールのような形状になっていき、眼軸長が27mmを超えるような「強度近視」になれば、網膜に様々な異常が起こる危険性が高まる。
「強度近視の人の場合、失明に至る病である『黄斑変性症』の発症リスクは、通常に比べて約850倍に跳ね上がります。大げさに思われるかもしれませんが、これは充分に現実的な数字です。それほどに、スマホによって引き起こされる強度近視は重大な問題なのです」(前出・川本氏)
網膜剥離、緑内障…失明のリスクが現実に
日本人の「失明原因」の第5位である強度近視が引き起こす重篤な疾患は、黄斑変性症だけに留まらない。
「眼軸長が伸びて網膜が引っ張られてしまうため、網膜剥離や網膜裂孔(網膜に穴が開くこと)のリスクも高まります。また、近視が進行すると、失明リスクが最も高い緑内障にもなりやすくなってしまうのです」(前出・岩田氏)
実は、近視の進行によって過度に引き伸ばされるのは眼軸だけではない。眼圧を一定に保つために必要な房水の排出口である「隅角」も伸びている。この状態が続くと、眼圧が上昇して視神経が圧迫される「開放隅角緑内障」の発症リスクが激増するのだ。当然、発症後にスマホを使い続ければ、失明の危険性も高まる。
65歳以上の約5人に1人、75歳以上のほぼ半分が発症するといわれている白内障も、強度近視によって罹患しやすくなる病気だ。近視がない人に比べ、発症リスクが5.5倍に増える。手術によって症状が改善しても、スマホを使った近業を続ければ、症状は悪化するという。
「白内障患者の人は、だいたい70歳前後で手術を受ける場合が多いのですが、年齢を重ねて視力が落ちていても、術後すぐは、おおむね裸眼で1.0程度の視力があるんです。ところが、手術を受けてから年月が経つと、少しずつ近視化していく。
やはり、近くでスマホなどを見る時間が長いことが原因だと考えられます。また、視力が回復したことで、これまで拡大して見ていた画面や文字を、小さいままで見る人も多い。そうすると、結果的にスマホを近くで見ることが増えるんです。視力が回復しても、画面や文字のサイズはそのままにしておいてほしいですね」(前出・川本氏)
目を守ることと失明の予防は、「今」が最も早くベストの時だ。ぜひ注意点を確認しながら、日ごろの生活面を見直してほしい。
「週刊現代」2023年2月4日号より
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