本澤二郎の「日本の風景」(4839)

<軍事大国に向けて牙向く財閥主導の日本・産軍体制始動>

 非戦の9条をドブに捨てた安倍・自公内閣で動き出した戦争国家への流れが、岸田内閣になって驚くなかれ43兆円の超軍事大国路線へ格上げされ、今は「やくざ代議士の倅」の下で拍車がかかっている。ブレーキを踏まない自公とブレーキのない野党に救われて、日本の戦前回帰は急速に進行し、国民を混乱させている。日本の産軍複合体性始動とみたい。。

 米韓を味方にしての対中朝露軍事作戦の前進基地となったことに批判しないどころか、後押しする言論界に反吐が出る。「一度の失敗に懲りない神道・統一教会に創価学会が加わってのカルト教団を、自公に維新と国民が援軍。二度の敗戦日本へと突っ込んでいる。死の商人財閥のエンジンもうなりを上げ始めた」といえる最悪の事態に目を覚まさない国民。そこに武器弾薬の「国産化」「アメリカ離れ」の、これまたすごすぎる策略も登場した。

 

<武器の国産化とロッキード事件児玉―中曽根ルート>

 この国をいま操っているのは日本銀行と防衛省ではないか!円を刷って刷って刷りまくっているアベノミクスというとんでもない金融政策が、今も継続しているため、円激安は止まらない。物価は急騰し、円紙切れ政策は敗戦時の日本を凌駕している有様だ。

 

 「安倍以上に安倍」といわれる岸田・自公内閣は、財閥軍需産業に血税を投入する憲法違反法を成立させ、次いで「防衛装備品生産基盤強化法」に基づいて「やくざの倅」が策定した基本方針の原案が明らかになった、と報じられている。悲願の武器の国産化だ。

 原案によると「ウクライナの教訓は長期間戦い続ける継戦能力」だと、やくざらしい信じられないような屁理屈をつけて武器弾薬を自国、つまり日本国内で調達する。これが柱だという恐ろしすぎる内容だ。アメリカのように軍事中心の国家経済にする魂胆なのだ。

 

 日本の戦争を想定してる防衛相と岸田内閣に驚愕する。ウクライナ・ロシア戦争から教訓を受けたため、とすごんでいるのだから。厳島神社サミットも見えてきたではないか。国家神道復活目前なのか。とことん戦い抜くという作戦をするための布石を「やくざの倅」が打ち出している!まともな防衛相であれば、もうとっくの昔に辞表を出していただろう。しかし、浜田は違う。靖国の名前で父親のやくざ代議士に薫陶を受けてきたのだから。余人をもって代えられない、ということらしい。

 

 武器の国産化は財閥軍需産業の悲願だった。財閥国家の日本になっている!その先頭に立って宣伝して走ってきたのが、読売のナベツネと盟友・中曽根康弘。ロッキード事件の本丸は、対潜哨戒機P3Cの国産化を阻止するための大事件の発覚だった。

 ロ社工作の核心は、中曽根に釘を刺す適任者を誰にするか。中曽根が靴磨きをした児玉を記憶していたらしい。筆者も記憶を取り戻すため、久しぶりに「平成の妖怪 大勲位 中曾根康弘」(健友館)を今朝ぺらぺらとめくった。この本を最近、息子がメルカリに出品した。50冊限定1冊2500円。その価値は十分あるだろう。

 

 出版すると、間もなく出版社は倒産した。大学の講師の椅子もなくなった。中曽根とナベツネが筆者の糧道を絶ってきたきたものだと推認できる。しかし、今も生きている。ページを開いてみると、実によく書けている。記事の一部は月刊タイムスに載ったものもある。我ながら情報量の膨大さに驚く。

 中曽根問題に絡めて読売と産経をこっぴどく当たり前の批判をしたのだが、その直後に日本記者クラブでの会見中、隣り合わせた産経新聞政治部長だったさんがひどく誉めてくれたことを思い出した。

 この本を平和軍縮派の巨頭・宇都宮徳馬の墓前に捧げた。戦前の天皇制国家主義かぶれに対する批判本である。誰かが「昭和の妖怪」という本を出した。それにならって「平成の妖怪」と評したがその通りだった。

 原発もすべてここから発している。事件事故の類は、短期間の取材で終わってしまうが、長く継続する政治は、長く足で稼いだ材料が不可欠で、学者には無理だ。「平成の妖怪 大勲位 中曽根康弘」本は、貴重な戦後政治史の流れを解き明かした参考本といえるだろう。

 

<防衛費1%枠をはめた三木武夫内閣は稲葉修法相を起用して中曽根事件を隠ぺいした罪は大>

 三木武夫は自民党派閥の中でもっとも平和主義を大事にした政治家で知られる。しかし、ロ事件の処理では大変な間違いをしでかした。事件最大の腐敗が防衛族の中曽根であったが、彼は法相の稲葉修と共に事件を田中角栄に絞って決着をつけた。

 東京地検特捜部は、とうとう本丸の中曽根捜査をしなかった。三木は防衛費のGDP比1%の枠をはめて、平和主義の本領を見せつけたものの、ロ事件の大罪人である中曽根と児玉に対して徹底追及をしなかった。右顧左眄した東京地検も大罪を犯した。

 

 中曽根が三木内閣の自民党幹事長だったこと、法務大臣が中曽根の側近・稲葉だったという関係が大きく左右して、天皇制国家主義者の中曽根は助かった。A級戦犯の岸信介はCIAに助けられ、日本を戦前回帰路線を敷いて、後の福田赳夫の清和会政治へと引き継いだ。

 日本をここまで失墜させた民主主義の破壊者は岸・福田赳夫と中曽根康弘であることを考慮すれば、三木の平和主義はロ事件で失墜し、日本にいい結果をもたらすことはなかった。

 

 もしもはないが、中曽根がロ事件で排除されていれば、中曽根・国家主義もその後の清和会・森喜朗内閣を誕生することはほぼなくなっていたのだから。

 過ちの最大の原因は第一にCIAが岸を復権させたこと、第二が三木が中曽根を訴追させなかったことである。中曽根が政権を担当しなければ、森や小泉、安倍の出番はなかっただろう。そして現在、やくざの倅による武器弾薬の国産化という超軍事大国路線と、その後の戦争への不安も起きていなかったことになる。

 

<言論が健全に機能しないと民主主義は壊れる!>

 政治は個々の為政者によって大きく左右される。言論界が健全に機能しないと怪しい人物が登場し、国民生活が破壊され、最悪の事態は戦争に巻き込まれて国が滅ぶことになろう。今をどう認識し、それを政治に生かせるかに最善を尽くさないと、本当に日本国民は財閥の奴隷にさせられ、命を奪われるだろう。カルト教団に左右されてはなるまい。やくざの倅に任せていることの恐怖を味わうことになる。

2023年6月19日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)