大阪万博チケットさっぱり売れず…1100万枚完売しないと赤字に、損益分岐点1840万枚なのに販売済み約744万枚
2024年12月21日 11時32分日刊ゲンダイDIGITAL
(お・も・て・な・し(儀典長に任命された植田副知事=右と吉村府知事)/(C)共同通信社)
開幕まで4カ月を切った大阪・関西万博の前売りチケットが売れていない。目標1400万枚のうち経済界に割り当てた700万枚を超えた途端、売り上げペースが急失速。万博運営費1160億円の約8割をチケット収入で賄う計画のため、販売不振は赤字に直結する。埋め合わせに税金が投入される可能性も否めない。
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大阪府・市は20日、万博に訪れた国内外の賓客を接遇する担当部署として「大阪儀典室」を設置。吉村府知事と「儀典長」に任命された元大阪府副知事の植田浩氏が、アジア太平洋トレードセンター(住之江区)内で看板を掲げた。
儀典室は皇室関係者の訪問や万博関連行事への知事の出席など、総合調整を担う。ビジネス目的で滞在する海外要人と地元企業のマッチングを促す役割もあるという。
「おもてなし」の強化に加え、ビジネスチャンスの創出にもガメついあたり、さすが「商人の町」。だが、肝心のチケットは“商売あがったり”の様相を呈している。
主催者の万博協会は来場者延べ2820万人を想定し、全体で2300万枚の販売目標を掲げる。前売りは18日時点で約744万枚をさばいたものの、目標の1400万枚の半分程度だ。9月は週あたり平均40万枚ほど売れたが、企業負担分の700万枚を突破した10月中旬以降、平均約3万枚に落ち込んだ。
販売不振を受け、万博協会は協賛企業である関西電力と大阪ガスに5万枚ずつの追加購入を提案。関電は当初の20万枚から25万枚、大阪ガスは15万枚から20万枚に“ノルマ”が増えた。
残りの運営費を賄うグッズ展開にも必死だ。公式オンラインストアにはサンリオの人気キャラクターや阪神タイガースなどとコラボした商品が並ぶ。現時点で掲載中の計1393品のうち36商品は品切れ。低価格帯が中心だが、ミャクミャクをあしらった高崎だるま(税込み5940円)や法被(同1万1000円)などもソールドアウトだった。
チケットやグッズの販売状況について、万博協会に問い合わせたが「すぐには回答できない」(広報担当)とのこと。
実際、赤字ラインはどこなのか。18日の衆院経済産業委員会で、経産省の事務方は「想定の約80%の来場でも収支相償となる」と説明した。つまり、損益分岐点はチケット1840万枚。赤字回避には残り1100万枚を売り切る必要がある。
■国は対応を万博協会に丸投げ
赤字問題は経産相直轄の万博予算執行監視委員会も問題視。18日の衆院経産委で共産党の辰巳孝太郎議員が、監視委員から「何を削るのか議論しておく必要がある、と再三にわたって出されている」と指摘し、支出削減について追及した。
ところが、武藤経産相は「(監視委からの)指摘は承知している」とする一方、「具体的な対応方針については、博覧会協会において、支出抑制だけでなく収入の拡大策も含めて検討を進めていると認識している」とノラリクラリ。万博協会に丸投げの姿勢だった。
万が一、赤字の場合にどう補填するのかは中ぶらりんのままだ。負担するのは、国か大阪府・市、はたまた財界か──。いずれにせよ、税金で穴埋めは許されまい。
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今回の万博のシンボルとなるのが、外周2キロを誇る世界最大の木造建築物「大屋根」(リング)だが、パクリ疑惑について建築家の山口隆氏が疑問を投げかけている。●関連記事【もっと読む】で詳報している。
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