ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

クリス・コーナー/ジス・イズ・クリス

2024-06-17 18:16:14 | ジャズ(ヴォーカル)

先日サラ・ヴォーンのところで3大女性ヴォーカル(ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、サラ)について書きましたが、彼女らは皆黒人。実は白人にも御三家というのがありまして、それがアニタ・オデイ、ジューン・クリスティ、そして今日取り上げるクリス・コナーの3人です。この3人には共通点があり、1つは全員スタン・ケントン楽団出身であるということ。3人に加えて後にケントン夫人となるアン・リチャーズを加えて”ケントン・ガールズ”と総称したりもします。もう1つは全員もれなくハスキーヴォイスであると言うこと。これもケントンの好みでしょうが、彼女達に限らずこの頃の白人女性ヴォーカルはヘレン・メリルやペギー・リーも含め総じてハスキー系が多いですね。中でもこのクリス・コナーはドスの効いた低音を持ち味にしています。

今日ご紹介する「ジス・イズ・クリス」はベツレヘム時代の1955年4月に吹き込まれたもので、「バードランドの子守唄」と並んで彼女の代表作です。バックで演奏するのはハービー・マン(フルート)、ジョー・ピューマ(ギター)、ラルフ・シャロン(ピアノ)、ミルト・ヒントン(ベース)、オシー・ジョンソン(ドラム)から成るクインテット。そこに4曲でJ・J・ジョンソン&カイ・ウィンディングのトロンボーン・チームが加わります。

全10曲。全体的にはクリスの低音ヴォーカルを活かしたやや暗いトーンの曲が多いですね。"Blame It On My Youth""The Thrill Is Gone"”Trouble Is A Man"等がそうで、歌詞も恋の苦さや男への恨みつらみを歌っています。でも、そんな曲ばっかりだとさすがにキツい。個人的にはミディアム〜アップテンポの曲の方が良いですね。中でも”I Concentrate On You"と”From This Moment On"はジェイ&カイのツイン・トロンボーンを大きくフィーチャーしており、演奏にダイナミズムを加えています。それ以外だと他ではあまり聴いたことのない”All Dressed Up With A Broken Heart”もなかなかの佳曲ですし、ラルフ・シャロンの軽快なピアノソロをフィーチャーした"Ridin' High"もおススメです。

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