本日は男性コーラスグループのフォー・フレッシュメンをご紹介したいと思います。昨日のジャッキー&ロイ同様に硬派ジャズファンからはケッ!と唾棄されてスルーされそうですが、私は好きなのです。高音担当のテノール2名、低音担当のバリトン1名、バス1名から成るハーモニーを売りにしたグループで、後のビーチ・ボーイズ等にも多大な影響を与えています。結成は1948年で何と2024年現在も(!)活動する長命グループですが、当然のことながらメンバーは入れ替わっています。
全盛期の1950年代のグループはドン(テノール)&ロス(バリトン)のバーバー兄弟に、高音テノールのボブ・フラニガンの3人が基本メンバー。バスはちょくちょく入れ替わりますが本作「ファイヴ・トロンボーンズ」の時点(1955年)ではケン・エレアが努めています。タイトル通り5人のトロンボーン奏者が伴奏しており、フランク・ロソリーノ、ハリー・ベッツ、ミルト・バーンハート、トミー・ペーダーソン、ジョージ・ロバーツと言った顔ぶれです。リズムセクションも実は豪華で、バーニー・ケッセル(ギター)、クロード・ウィリアムソン(ピアノ)、ジョー・モンドラゴン(ベース)、シェリー・マン(ドラム)が名を連ねていますが、コーラスとトロンボーンの陰に隠れてあまり存在感はありません。編曲を務めるのはスタン・ケントン楽団等で活躍したピート・ルゴロです。
全12曲。全て歌モノスタンダードでほとんどがお馴染みの曲ばかりなのですが、4人の卓越したコーラスワークと迫力あるトロンボーンアンサンブルのお陰で聴き応えのある1枚となっています。中でもおススメはトロンボーンとコーラスの掛け合いが見事な”Love Is Just Around The Corner"、ボブ・フラニガンのハイトーンが胸に沁みる美しいバラード”Mam'selle"、ジョージ・ロバーツのバストロンボーンとケン・エレアの低音ヴォイスが印象的な”Speak Low"です。各楽器がソロを取る場面はほぼありませんが"Love”でフランク・ロソリーノ、”Somebody Loves Me”でクロード・ウィリアムソン、”You Made Me Love You”でバーニー・ケッセルが短いながらもソロを聴かせてくれます。なお、日本ではなぜかこの「ファイヴ・トロンボーンズ」のみがたびたびCD発売されていますが、他にも似たような企画として「ファイヴ・サクシーズ」「ファイヴ・トランペッツ」「ファイヴ・ギターズ」等があります。youtubeで聴くとどれも素敵なアルバムなので、いつかCD発売してくれないかなあと思っているのですが多分されないでしょうね・・・