ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

サド・ジョーンズ/デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション

2024-06-03 21:06:31 | ジャズ(ハードバップ)

本日はサド・ジョーンズをご紹介したいと思います。兄はピアニストのハンク、弟はドラマーのエルヴィンのジョーンズ3兄弟の真ん中で、1950年代半ばから約10年間カウント・ベイシー楽団の花形プレイヤーとして活躍し、その後はドラマーのメル・ルイスと組んでサド・ジョーンズ&メル・ルイス楽団(サド・メル楽団)を結成しました。生涯をビッグバンドに捧げたような形ですが、並行してスモールコンボでもちょいちょい演奏しています。一番有名なのはブルーノート盤「ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ」ですが、今日取り上げるのはその少し前の1956年3月に同じくブルーノートに吹き込まれた「デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション」です。

参加メンバーはリーダーのサドに加えビリー・ミッチェル(テナー)、ケニー・バレル(ギター)、トミー・フラナガン(ピアノ)、オスカー・ペティフォード(ベース)、シャドウ・ウィルソン(ドラム)です。タイトルにあるように、サド、ミッチェル、バレル、フラナガンの4人がデトロイトの出身で、当時よくあったデトロイト・セッションの1つとも言えますが、ペティフォードとウィルソンはデトロイトとは関係なく、40年代からニューヨークで活躍するベテランです。

全5曲。スタンダード2曲、サドのオリジナル3曲という構成です。1曲目ロジャース & ハートの"Blue Room"はゆったりしたスイング風の演奏で、ドラム以外全員が心地良くソロをリレーします。2曲目”Tariff"は軽快なハードバップで、ミッチェル→バレル→フラナガン→サドと切れ味鋭いソロを聴かせます。3曲目”Little Girl Blue"は3分弱しかない箸休め的なバラードで、トランペット、ギター、ベースのトリオ演奏です。4曲目”Scratch"は本作のハイライトとも言える曲。ミディアムテンポでまず最初にサドがブリリアントなトランペットを聴かせ、哀調を帯びたバレルのギター、エレガントなタッチのフラナガンのピアノ、朗々と歌い上げるミッチェルのテナー、重厚なペティフォードのベースと続きます。なかなかの名曲・名演ですね。ラストの”Zec"は再びアップテンポのバップで、とりわけバレルとフラナガンのソロが光ります。以上、ざっくり言うとスタンダードがスイング風、オリジナルがハードバップ風と新旧織り交ぜたスタイルで、この時期のブルーノートでは異色の作品ですが、内容的にはなかなか楽しめる作品です。リーダーのサドだけでなくビリー・ミッチェルもベイシー楽団やディジー・ガレスピー楽団等ビッグバンドのイメージが強いですが、両者ともスモールコンボで素晴らしいソロを聴かせてくれます。バレル、フラナガンもいつもの安定ぶりですね。

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