広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

岩木山の見える町

2008-11-22 21:39:20 | 津軽のいろいろ
津軽平野のどこからでも見える岩木山は「津軽富士」の名にふさわしく、富士山と同じく周りに他の山のない孤立峰で、なだらかに裾野を広げる。それでいて、富士山よりも柔らかで優しい印象も受ける。弘前市内から見た場合、「山」という漢字の成り立ちが分かるかのように3つの頂点がきれいに並んで見える。

弘前に住んでみて、岩木山の好きな姿が2つある。
1つは以前記事にした、紅葉に染まる岩木山。弘前市内からは太陽光線が順光となる朝早くがきれいに見える。
大学生の朝は遅いけれど、8時40分からの1講目に講義が入っている日は、7時過ぎには起きていた。10月のある晴天の日、眠い目で洗面所の窓から何気なく外を眺めた時、岩木山が赤く輝いて見え、はっとさせられた。先日の記事の画像よりもきれいに見えた気がする。その赤い帯が岩木山の下に移動してくると、まもなく街も紅葉して冬になる。

もう1つは、青空を背景に雪をかぶった岩木山。
大学の学部棟4階の大講義室は岩木山向きの窓があった。そこから真冬には珍しい晴天の日にくっきりと見えた岩木山、春めいてきた卒業式後に大学の屋上に上って撮った記念写真の背景の岩木山、5月のリンゴの花の後ろにそびえる岩木山。どれも雪を頂いた姿が美しかった。


大学のある先生(青森県外出身)が「弘前の人は家の間取りを見るとき、南向きであることと同じく岩木山が見えることを重視する」と言っていた。弘前市内から岩木山は北西方向になるから、冬は寒そうだし、この話の真偽は分からないけれど、津軽の人にとって身近な存在なのは確かだ。

これも学生時代の話だが、弘前大学前の通りを歩いていると、向こうから腰の曲がったおばあさんが歩いて来た。そこは歩道と大学構内との境が生垣になっていて、おばあさんは生垣の隙間から大学の敷地内を覗いて、「はぁ~」という感嘆の声かため息の後、パンパンと手をたたいて拝んで、また歩いて行った。
大学内に何があるのかと僕も覗いてみるとこんな光景が見えた。(写真は今年10月撮影)

プログラムオート F/9 1/320 露出-0.3 高い建物が理工学部2号館、低いのが農学生命科学部1号館。その手前が圃場


農学生命科学部の圃場(実験・実習用の農地)の向こうに岩木山が見えたのだ。(その時も雪をかぶった季節だった気がする)
岩木山は本当に津軽の人に親しまている山なのだということをそのおばあさんに教えてもらった気がして、強く心に残っている。
例えば秋田の太平山や鳥海山といった山々もそれぞれ美しくて、人々に親しまれている山ではあるけれど、岩木山には特に人をひきつける何かがあると思う。


また岩木山の見える町に行ったら、記事を書きます。
コメント (2)
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