10月14日は「鉄道の日」なので、鉄道の記事を重点的にアップする、かもしれません。
【追記・以下は2009年時点の状況をそのまま残しています。その後状況は変わっています。末尾のリンク等を参照してください。】
電子マネーが登場してしばらく経つ。大都市では公共交通機関が発行する“交通系”電子マネーが浸透し、最近のJR東日本の発表によれば「Suica」は「
発行枚数約2,985万枚」「
首都圏エリアでの IC 乗車券の平均利用率が約 80%となり、電子マネーの月間の利用件数 も 4,000 万件を突破」している。
でも秋田では交通機関には導入されていないので、“流通系”電子マネーの方が便利そうではあるが、イトーヨーカドー秋田店で「nanaco」、秋田サティ(僕は他のイオン系列店には行かないので)で「WAON」で決済しているお客を見たことがないから普及率はあまり高くないのだろう。
かく言う僕も、興味はあったがシステムが複雑そうだし、特定の会社(鉄道とかスーパー)に“囲い込まれて”しまいそうな気がした。それならクレジットカード決済してそのポイントを貯めた方が効率が良さそうに思えて、電子マネーは持っていなかった。
ところが数か月前、何気なく調べてみると、僕の場合、JR東日本の「Suica(スイカ)」を使えば、秋田にいても今まで以上に得になる場面が多そうなことが分かった。旅行先で使うこともあるし、購入することにした。
※以下は、個人的なSuicaの感想・覚え書き的なものです。間違いがあるかもしれませんのでご了承ください。
個人情報を登録する「My Suica」や携帯電話の「モバイルSuica」などで条件は異なり、もっと得な場合もあると思われます。
どうしてSuica?
Suicaは本来はJR東日本の列車に乗るための乗車カードだが、秋田では未導入(新幹線のモバイルSuicaを除く)だし、導入されている首都圏に行っても僕はフリーきっぷを使うことが多いから、利用機会は少ない。
ただ、Suicaは相互利用先が多く、首都圏の私鉄やバス、関西、名古屋・静岡、札幌近郊のJRなどにも乗車できる。近い将来は、関西の私鉄や名古屋市営地下鉄・名鉄などでも利用できることになっている。
相互利用できるかどうかの相関関係が複雑で、中小私鉄など利用できない路線もあるが、利用できる交通機関の数ではSuicaがダントツだと思うから、全国各地へ旅行して鉄道を利用する機会の多い人は持っていてもいいだろう。
また、秋田から飛行機で羽田や新千歳によく行く方でも、浜松町へのモノレール、横浜/品川への京急線、新千歳から札幌や小樽へのJRでも利用できる。
Suicaへのチャージ(カードへの入金)は基本的に現金だが、僕が使っているJR東日本のクレジットカード「VIEWカード」では、クレジットでのチャージができ、クレジットのポイントが付く。
多くのクレジットカードがそうだと思うが、発行元と関係のない店舗でカードを使うとポイントは0.5%しか付かないが、自社店舗で使うとそれ以上にポイントが付く。ビューカードも同じで、コンビニやスーパーで決済すると提携先のVISAやJCBなどでの扱いになり0.5%しか付かないが、みどりの窓口や券売機では1.5%が付く。そしてSuicaへのチャージも1.5%付与の対象(もともと鉄道に乗るためのカードだから当然とも言えるけど)。
VIEWカードとSuica
つまり、ビューカードから一度Suicaへ入金をして、そのSuicaをコンビニやスーパーで使えば、1.5%のポイントが付くことになる! しかもポイント付与とチャージはともに1000円刻みなので、端数で損をすることもない。
これがSuica購入の決め手になった。
秋田では入手困難?
実はいちばんの難関がカード自体の購入。カードは「
Suicaエリア内にあるJR東日本の駅」で購入できる。Suicaエリア内とは首都圏、仙台・福島、新潟周辺。だからJR東日本の駅といっても秋田では買えない。
先日の山陰旅行の乗り換えの間に、東京駅の券売機で購入した。500円のデポジット(預かり保証金。カードを返却すれば返してくれる)と1500円分があらかじめチャージされて計2000円。同じ券売機でチャージもできるので、ついでに1万円も入れてしまった。
ずっと前に1度だけ、他人のものを見せてもらったことがあったが、Suicaを手にしてじっくり見るのは初めて。カード表面は角度によっては銀色でなくやや金色がかって見える。厚さはクレジットカードと同じくらいで思ったより厚い。中にICチップやアンテナが入っているはずだが、その分、クレジットカードより重さもある。
エキナカではもちろん便利
山陰旅行では、列車の乗車としては大阪近郊で2度使っただけで、あとはお土産や駅弁の購入に電子マネーとして使ったが、小銭の心配がなく、スピーディーに決済ができてとても便利だった。チャージ残額(最高2万円)の範囲内ではあるが、あまり金額を気にせず、どんどん使ってしまいそうで少し怖い。
エリア内の駅では、売店・コンビニはもちろん、自販機・飲食店・書店・ドラッグストアなどどこでも使える。一部にはSuica自体が鍵となるコインロッカーもある。僕はいつも鍵をなくさないか心配しながら使っているのだが、財布に入るSuicaなら安心だ。
また、JR東日本は秋田駅などエリア外の駅であっても、新幹線停車駅は使えるようにする方針のようで、使える場所が増えている(後述)。
注意したいのは、現時点では電子マネーとしては利用できない(2010年春開始予定)JR東海「TOICA」エリア。例えば京都駅は在来線はJR西日本管轄だから、電子マネーが使える場所は上記の通りたくさんあった。しかし、新幹線の京都駅はJR東海管轄なので新幹線改札内には電子マネーを使える場所が一切なかった。売店には「現金のみ」という表示があった。
秋田駅でさえ電子マネーが使えるというのに、天下の東海道新幹線の駅でまったく使えないのが意外だった。
駅以外でも使う場所あり
「駅ナカから街ナカへ」というJRの宣伝通り、市中でも使える店が増えてきた。大手コンビニ・スーパーや商店街ぐるみでポイントカードも兼ねて導入する例もある。
全国展開する店舗の場合、鉄道で利用可能なエリア外でも対応しているかどうかはケースバイケース。例えば、秋田ではローソンとイオンでは使えるが、首都圏などでは使えるファミリーマートでは現時点では未対応らしい。
先日行った山陰では、ローソンはICOCAが使えたのでSuicaも相互利用としてOK。でもイオンはICOCAエリア内の店舗でしか対応しておらず、山陰の店舗では未対応だった。同じイオンでも東日本と西日本で対応が違うわけだ。
このように使える店舗の区別が複雑だし、使える店が日々増えているので、実際店頭で確認するのがいちばん確実。
結局、秋田で使える場所は?
・新幹線停車駅の改札内および改札口周辺のキオスク、NEWDAYSなどの売店、自動販売機など
以前の記事で紹介したようにのぼりなどが目立つように置かれている店が多い。
・イオン系列のスーパー(秋田サティや地域子会社のマックスバリュ各店を含む)
店内は自社の電子マネー「WAON」の告知ばかりで、Suicaの表示はレジのそばに小さくある。サティに行ったら、食品売場以外にも直営の衣料品や書籍売場、テナントのミスタードーナツ・地元菓子屋・クリーニング店にまで読み取り装置があり、ほぼ店内全レジで使えるようだ。レストランでも使えるかもしれない。自社のWAON普及が第一義だろうけれど、結果的にSuicaも使えるのはうれしい。
なお、秋田には店舗自体がないが、イオン傘下のダイエーでは現時点では使えないとのこと。
・秋田駅前のファッションビル「フォーラス」
ここもイオン系列だから。
・ローソン
と、この程度だが、それなりに使う場面がある。今後、ファミリーマートも対応するかもしれないし、コカコーラの自販機も対応していくことが発表された。
秋田駅ビル「トピコ」で使えないのが意外。旅行者の需要がありそうだけど。
使い方
店員に電子マネーで払う意思表示をしてレジを操作してもらい、黒い石けん箱みたいな読み取り装置(リーダー)にSuicaをタッチすればいいが、店舗によって少し違いがある。
・キオスク、NEWDAYSなど電子マネーがSuicaしか使えない店舗
簡単。店員さんが「どうぞ」と言ったらそのままタッチするだけ。「ピピッ」と鳴って、リーダーに引き落とし額、Suica残額が表示されれば完了。
ただし、狭い売店など客がタッチできない位置にリーダーがある店舗は、一度店員にSuicaを渡すことになる。また、複数台のレジがある店舗では、一部のレジしかSuicaに対応していなかったり、2台以上のレジで1台のリーダーを共用している場合がある。
・イオン系列スーパーの場合(秋田サティでの体験【25日追記】マックスバリュ東北の店舗でもサティとまったく同様だった)
イオンでは自社の「WAON」、ドコモの「id」、Suicaの3つの電子マネーが使えるが、リーダーは共通。そのため、店員にSuicaで支払う旨を伝えた後、客がどの電子マネーで支払うか選択しなければいけない。リーダーのそばにテンキーがあり、その下部にカード名称が書かれた青色LEDが光る選択ボタンがあるので、その「Suica」を押してからタッチすればいい。WAONの場合「ワオンッ」と鳴くようだが、Suicaでは「ピピッ」だった。
タッチしてから決済まで若干タイムラグがあるような気がした。【25日訂正】選択ボタンを押してから決済可能になるまで、若干(1秒くらい?)時間がかかるようだ。タッチする場所に小さな白黒液晶が付いており、そこが「Please wait」から「Ready」だったかに変わればタッチしてすぐ反応した。
また、選択ボタンのカード名のマークの記載が小さく、しかも(僕が使ったレジでは)はがれ気味だったので、分かりにくいかも。
・ローソンの場合
イオン以上にいろいろな種類の電子マネーが使えるので、操作手順がやや複雑。画面への指でのタッチと2度のカードリーダーへのタッチが必要。リーダーは白っぽい色で他と外見が違う。
店員に伝えると、以後は客側を向いているレジの液晶ディスプレイの指示に従うことになる。最初は「リーダーに置いてください」という旨が表示される。置かなくても、他店同様タッチすればいいようだが、認識に時間がかかることがあるのかもしれない。この段階では電子マネーの大まかな区分を認識しているようだ。特に電子音などは鳴らない。
Suicaの場合、ここで「交通系電子マネー」であると認識されるようだ。次の手順では、画面に表示された電子マネー名の候補の中から、自分が使用するものを選択してタッチする。といっても、Suicaの場合はSuicaのアイコンだけが表示されるので、ちょっと無駄なステップ。
選択が終わると、再び「リーダーに置いてください」と表示され、ここでやっと決済が行われる。ただし、最初の段階からそのまま置きっぱなしにしていると認識されないようで、一度持ち上げて再度タッチしなければいけないようだ。持ち上げ方が足りないとダメ。やはり「ピピッ」で完了。
【2010年4月9日追記】久しぶりにローソンで決済したら、台に置きっぱなしで画面にタッチするだけで大丈夫だった。若干時間も短くなった気がする。気のせいか、レジの制御ソフトなどがバージョンアップしたのか?
・駅構内の自販機
現金とは逆に先に商品ボタンを押してから、タッチする。市中のコカコーラの自販機の場合は複数の電子マネーに対応するので、選択ボタンがあるようだ。
・ほかにも新幹線などの車内販売でも使える。
レシートはイオンとローソン、駅ナカの大部分の店では、通常のレシートにSuica決済額とカードの残高が表示される。
ローソンのレシート。「Suica」でなく「交通系マネー」と記載された
しかし、一部の駅テナントなどでは、レジとリーダーの接続関係からか、レシートと別に決済額・残額を記載した「Suica伝票」なるものが発行され、レシートと一緒に渡してくれる。クレジットカードの利用票みたいなものだろう。
でもごく一部の店舗ではレシートをくれず、この伝票だけを渡してきた店もあったが、領収書であるレシートは渡すべきであるから正当な扱いではなさそうだ(言えばくれるとは思うけど)。
電子マネーは財布に入れたままでも使えると言われているが、他の電子マネーなどICカードと干渉したり、プラスチックのカードや硬貨でも電波が遮断されてしまうことがあるようだ。カードや硬貨が何枚か入った財布で試したが、確かに使えた。
秋田でチャージ(入金)
使ったからにはチャージしないといけない。エリア内では、駅の各種券売機でできるが、秋田ではできない。
Suica支払いができる店舗(コンビニやスーパー)では、秋田でも現金でのチャージはできるらしい。秋田駅のNEWDAYSには「チャージできます」と書いているが、ローソンやイオン各店(レジでなくサービスカウンター?)でもできるようだ。
でも僕がやりたいビューカードでのチャージができるのは、秋田県内では1か所だけ。
秋田駅改札外、みどりの窓口隣の待合室内にある
この機械
JR東日本のATM「ビューアルッテ」。首都圏の駅や各地の新幹線のターミナル駅などに設置されている。始発から終電近くまで営業しているのが特長で秋田駅は5:30~23:30。昔はブースがあったけど、今はむき出しだ。このATMでビューカードでのSuicaへのチャージができる(現金や他のクレジットカードからは不可)。
画面の指示に従い、同じ挿入口からSuicaとビューカードを入れる。
1000円単位でのチャージ
JR東日本が自社開発したのだろうが、画面や音声、サクサクとした動作が、ATMというより自動券売機の一種みたいで快適。
たまに使ってやらないと
Suica裏面の「ご利用案内」には、「
最後の利用日から10年間利用がない場合は、失効します。また、一定期間機器等での利用がない場合、係員がカードを確認させていただくことがあります。」とある。
10年間無使用で失効はいいとして、後半の一定期間うんぬんのくだりは気に留めないでいたが、
半年間まったく利用のないカードはロックがかかって一時的に使えなくなり、駅員に処理してもらわなければ使えないそうだ。
処理自体はすぐ済むらしいが、エリア内の駅でなければできないから、秋田では不可能。それを防ぐには日頃から使ってやらないといけない。
【2016年11月19日追記】2016年に、最後の利用から半年と1週間経過したSuicaを使ってみたところ、飲料自動販売機とファミリーマートで問題なく使えた。厳密に「半年」ではないのか、使ったのが無記名(個人情報と登録していない)Suicaだったため、謎。
【2017年12月31日追記】相変わらず公式な情報はないが、6か月で使えなくなるのは記名式だけらしい。その解除は、駅でなくても電子マネーとして使える店で対応できるところもあるとの話もある。
今後の展開に期待
まずは秋田を始め地方部のJRでも使えるようになってほしい。JR東日本の方針としては将来的に自社全線で使えるようにする方針らしいので、気長に待てばいいだろうけど。
さらに、路線バスの乗車券や商店街の決済兼ポイントカードとして、秋田独自でSuicaが使える場所を増やすのはどうだろうか。首都圏などからの旅行客の利便性も高くなるし、住民もいろんなカード類を財布にため込まずに済む。
秋田市が今年策定した「公共交通政策ビジョン」には、バスにICカードを導入する案があって驚いた。IC乗車券導入は地方バス事業者には負担が大きく、例えば弘南バスでは一時検討していたが断念し、今も紙の回数券を使っている。でも独自規格でなく、既存のSuicaを使えば多少はコストダウンと利用者増加が計れると思ったので、その旨をビジョンのパブリックコメント(意見公募)として提出したところ、同意見の方がもう1名いらした。市からは「
バス事業者のみならず、鉄道事業者との共通利用も含めまして、各関係者間で導入について検討し、実証実験・効果検証を行い、効果を確認したうえで本格導入を行うこととしております。」という回答だったが、これは期待していいのだろうか? バス会社にはそれ以前にもっとやってほしいこともあるけどねぇ…
半年でロックされることに注意すれば、秋田にいてもSuicaを持っていてもいいかもしれませんよ。
※その後の記事。さらにその後、
車内で車掌から補充券を購入する時は使えるようになっていた。
※秋田のバスへのICカード導入については
こちら。
※
2023年春から、ついに秋田など北東北でもSuicaでJRに乗車できるようになる。エリアの制限はあり。