種苗交換会主会場の様子です。(
前回の協賛会場の記事)
種苗交換会の目玉は秋田県内各地の農家が丹精を込めて育てた農作物を出品し審査される「農産物出品展示」。今年は駅東口直結の「秋田拠点センター“アルヴェ”」で行われている。
前に準備・審査風景を紹介したが、その時とほぼ同じ形式で公開されていた。3等賞までに札が付けられ、1等賞には農水大臣賞、知事賞とか新聞社賞とか副賞(?)が付くらしい。以下、展示の一部を順不同で紹介します。
まずは3階より上まで吹き抜けになった、1階「きらめき広場」での展示。報道や他の皆さんのブログでは2階から見下ろした写真が多かったけど、当ブログは
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3階から見下ろしてます!
会場外の窓際では各JAが加工品などを売っていたこともあって、そこから花の展示の辺りが混み合っていた。
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切り花のダリア。下段の濃い色のが1等賞、その両隣が2等賞
まず、ダリアってこんなきれいな花なんだと実感。うちのジイサンが育てていたのとは違う…
素人目にはどれも甲乙つけがたい。花色も違うから比較しにくい。
見に来ていたおばさん達の知り合いが入賞したらしく「あや~。○○さん2等だねか!(あれ。○○さんが2等じゃない!)」と喜んでいた。
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鉢花のシクラメン。中央が1等、その左下が2等。
花付きがよく、姿が整っているのが入賞しているような気がしたが、微妙な差。
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トマト
どれもきれいだが、これも入賞したものはなんとなく立派に見える。味も審査対象なんだろか?
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リンゴ
華やか
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キュウリとミツバ
ミツバはしおれかけている。5日以上室温に置いてあるんだから仕方ない。
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ブロッコリー「傷みが激しいため展示を控えました」
モノによっては撤去されてしまったものもある。1週間やっているけれど、会期前半に見に行った方がいいのかも。
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「出品物は展示品であり、販売は行っておりません」
そりゃそうだ。でも種苗交換会の本来の目的は、こうして優れた作物を評価し、さらにその種を交換しあうものだったはずだから、欲しがる人がいるのかもしれない。
さらにいろいろある。
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飼料
素人にはまったく判定できない。
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農産加工品
ハチミツ、お菓子、焼き肉のたれなど様々。いくつかピックアップすると、
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大仙市太田地区の「ほし餅」は2等
寒い時期に餅を乾燥させた、“凍り豆腐の餅版”といえる「干し餅」は寒冷地の素朴なお菓子だが、これは秋田県でオーソドックスなタイプ。干し餅の出品は唯一だったと思う。
秋田の農産加工品といえば漬け物。たくさん出品されていた。
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「大曲のばっちゃ漬け」ばっちゃはおばあさんの意味。
岩手県や秋田県内陸でよく作る、瓜の中に他の野菜を入れた漬け物のようだ。
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「羽後のぢゃっちゃ漬」何種類かあり、これが確か2等か3等になっていた。
これは蕗? に詰めた漬け物だろうか。「ぢゃっちゃ」とは聞いたことがなかったが「
漬けもの上手でおしゃべり好きなオバサンのことです」と記載があった。方言なんだろうか? 羽後町の西馬内盆踊りも描かれ、パッケージも凝っている。
このように、収穫物を加工して付加価値を付けたり、地元の食文化を保存し広く紹介することも農業には必要だろう。
広場だけでは収まりきらず、2階奥の多目的ホールでも展示されている。
アルヴェには、秋田駅寄りの西側とNHK寄りの東側にそれぞれエスカレーターがある。うち、東側はきらめき広場の隅と多目的ホール前を結ぶ、位置的に便利なものだが、僕が行った時はなぜか、上りと下りでなく、上り×2台で運行されていた。おかげで2階から再び1階の展示を見るためには、遠回りを余儀なくされた。というか一瞬エスカレーターを逆走しそうになった。通行を制限するほど混雑していなかったし、かえって危険。
2階の展示の方がおもしろいかもしれない。秋田県でこんなものも作っているんだということが分かる。
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マスクメロン(アールスメロン)の一種、「秋田甘えんぼ」
沿岸北部の砂地の地域などが産地。
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ダイコン
普通の青首もあったが、これは大きいのは横手市産の聖護院大根(京都の伝統野菜)。小さいのは秋田県北部の伝統野菜で「日本一辛い大根」として一部で話題の「しぼり大根」。
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ナガイモ
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ヤマノイモ。「JAあきた北」管内の大館市産が多いようだ。
真ん中のものが特に大きく、見るからに立派で、それが1等賞になっている。
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サトイモ。秋田では「芋の子」と呼ばれ、内陸部では特に好まれる。
種芋との位置関係で「子芋」「孫芋」と分類され、味も違うようで、見ていた来場者も「これは孫芋だから云々」と熱心に観察していた。注意書きもなく、立ち会いの職員も何も言わなかったので、基本的にはむき出しの展示品には手を触れてもいいらしい。
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大豆
水田の転作として盛んに栽培され、秋田県の大豆生産量は北海道に次いで2位。ほかに乾燥した枝付き枝豆もあった。
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小菊
山形や秋田では、菊の花びらをおひたしなどにして食べるが、それは大きな花。これはタンポポみたいな小菊だから、刺身のつまなどにするのかな。近くにはハーブやキンギョソウの花(いわゆる“エディブルフラワー”=食用の花)が少量出品されていた。
大きな米茄子(これも秋田特産)とキノコの間で存在感を放つのは
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炭! 大仙市産が1点だけ出され3等賞。
今でも秋田県内で炭焼きが行われ、それが種苗交換会に出店されているとは驚き。
ちなみに隣のキノコは、ナメコやエリンギもあったが、シイタケが多かった。パックに入ってラップで密封されて展示されていたが、「これだばカワイソだ。穴っこ開けてやらねば(この展示方法はかわいそうだ。穴を開けないと)」と話すおじさんがいた。
芽キャベツ? 青い松ぼっくり?
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これはホップ
芳香と苦みの元としてビールに欠かせない原料。日本では北海道・青森・岩手・秋田でしか生産されていない。出品されていたのは横手市と大館市産の「キリン2号」という品種が多かった。
ではこれは?
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食用ホオズキ「恋どろぼう」
秋田市の奥羽山脈の裏側、上小阿仁(かみこあに)村の特産でパイや高級チョコなどお菓子に使われている。10点くらい出ていたが、写真のものがひときわ大きく1等賞だった。
※一般的なホオズキは有毒なので食べられません!
ホップとホオズキの所で、県外から来た農家の団体さんと思われる方々と居合わせたが、どちらもあまりご存じなかった模様。ホオズキは「クルミだべが?」と言ってご覧になっていた。
その土地ならではの作物を作るのはいいことだが、“知る人ぞ知る産地”よりも「夕張メロン」みたいに地名がブランドになるように育てていくことも必要ではないだろうか。
出品数が特に多かったのが、
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葉タバコ
タバコの需要は減っているはずだが、2列を使って展示するほどまだ作られているのか。横手など内陸が産地だと思っていたが、男鹿市などからも出品され、写真の1~3等賞は北秋田市産だった。
それにしても素人には全部同じに見える。出品数の割には見学する人もまばら。
一方、その裏側が見学者でひときわ賑わっていたコーナー。秋田と言えば
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水稲(イネ)
こちらも2列を使って、根を含めた株ごと展示され、皆さん熱心に見ていた。「あきたこまち」のほか「ゆめおばこ」など新品種もあった。
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品種や栽培環境の違いもあるのだろうが、根がよく張っていればたくさん実が付くというわけでもなさそうで、奥が深い。
改めて秋田県の基幹産業であり、生活に欠かせない食に直結する農業の幅広さを感じた。駅前開催ということもあり、我々一般人(=消費者)の見学者もちらほらいたが、やや分かりにくい。素人目にはただ飾っているだけに見える。
審査基準を明確にしたり、解説を付けたり(産地とか生産量の全国順位)、ホップやホオズキは製品(ビールやお菓子)とともに展示し、さらにそれらを即売するなど、農家以外の人(=消費者)も関心を持って見られるような工夫があってもいいかもしれない(会の趣旨から逸れるかもしれないが)。9年に1度の秋田県最大の消費地・秋田市での開催だったのだから。
それはともかく、この機会に多くの消費者の皆さんにご覧いただきたい。5日正午まで開催されています。