おとといは一脚の壊れた椅子の一本の脚を直すシーンのある『円山町幻花』を見たが、昨夜は五脚の椅子を(さらにはテーブルまでをも)床に打ちつける芝居だった。
言うまでないが、ともに作品のテーマが椅子なのではない。ネタバレを避ける意味と、それにしたって不思議な符丁だなぁ、とは思って書き出してみた…。
一跡二跳さんが20周年を迎えた。
その記念公演の第二弾『平面になる』(6/14~18/紀伊國屋サザンシアター)は、タイトルとは裏腹に斜度30度の急斜面で芝居をするユニークな舞台でした(ゆるい傾斜のプレイエリアももちろんあります)。
そこに住む家族…そうそう『円山町幻花』『平面になる』はともに“家族”が意識された舞台でもありました。
前者は、ビルの屋上に仮想の家族のように集まる人々が、家族以上に仲が良く、未成年の少女は迎えに来た実の姉を拒絶するような展開。
後者は、本来皆が暮らしているはずの「建売住宅」に久しぶりに家族が帰ってくるところから始まる。父は会社近くのアパートから、兄はニューヨークから、というように…。
で、その家族に加え、娘に求婚する男やご近所さんの繰り広げる芝居と、時折挿入されるイッセキ得意のメソード(ex.制服の若者が行進したり屈伸運動からジャンプを繰り返したり…)が、やがて交錯する作りなわけです。
が、やはりどうしたって「体にかかる負荷」に眼を奪われてしまうのだ。なんたってスキーのジャンプ台みたいな所ですからネ、オーバーじゃなく…。作者の《伝えたいモノ》より、そっちが・・・。バーンと物申すことはないし、むしろストレートなメッセージを嫌ったのだ。
だからパンフにも『「見るとやるとでは大違い」、ということはよくある。今回の舞台の約半分を占める傾斜30度の床面もそうだと思う。見るほうは初めびっくり仰天するかもしれないが、見慣れてくるとそれが当たり前になっていき、「そんな大したことないのかな」という思いに落ち着いていく。ところがやるほうはいつまでたっても大変だ。(中略)見ていても、「やる側」でいなければならない。そこまで想像をたくましくしなければ、本当のことは何も見えてこない』と、作演出家は書いているし・・・。
ただ残念ながら、僕は逆に最後まで仰天に馴れずに“本当のこと”が見えずに終わってしまったみたいです。
さて。劇場入りまで3週間となった『いちゃりば兄弟』にも、家族は出てまいります。長くなったので、そのあたりは別の日に書くとして・・・
椅子と家族以外にもまだあった2作品の共通点を、もちっと書いて終わります……。
どちらも照明/磯野眞也、音響/黒沢靖博。新宿の劇場。
以前東演に所属していた役者さんが出演(『円山町~』石川恵彩氏、『平面~』辻谷耕史氏)。
言うまでないが、ともに作品のテーマが椅子なのではない。ネタバレを避ける意味と、それにしたって不思議な符丁だなぁ、とは思って書き出してみた…。
一跡二跳さんが20周年を迎えた。
その記念公演の第二弾『平面になる』(6/14~18/紀伊國屋サザンシアター)は、タイトルとは裏腹に斜度30度の急斜面で芝居をするユニークな舞台でした(ゆるい傾斜のプレイエリアももちろんあります)。
そこに住む家族…そうそう『円山町幻花』『平面になる』はともに“家族”が意識された舞台でもありました。
前者は、ビルの屋上に仮想の家族のように集まる人々が、家族以上に仲が良く、未成年の少女は迎えに来た実の姉を拒絶するような展開。
後者は、本来皆が暮らしているはずの「建売住宅」に久しぶりに家族が帰ってくるところから始まる。父は会社近くのアパートから、兄はニューヨークから、というように…。
で、その家族に加え、娘に求婚する男やご近所さんの繰り広げる芝居と、時折挿入されるイッセキ得意のメソード(ex.制服の若者が行進したり屈伸運動からジャンプを繰り返したり…)が、やがて交錯する作りなわけです。
が、やはりどうしたって「体にかかる負荷」に眼を奪われてしまうのだ。なんたってスキーのジャンプ台みたいな所ですからネ、オーバーじゃなく…。作者の《伝えたいモノ》より、そっちが・・・。バーンと物申すことはないし、むしろストレートなメッセージを嫌ったのだ。
だからパンフにも『「見るとやるとでは大違い」、ということはよくある。今回の舞台の約半分を占める傾斜30度の床面もそうだと思う。見るほうは初めびっくり仰天するかもしれないが、見慣れてくるとそれが当たり前になっていき、「そんな大したことないのかな」という思いに落ち着いていく。ところがやるほうはいつまでたっても大変だ。(中略)見ていても、「やる側」でいなければならない。そこまで想像をたくましくしなければ、本当のことは何も見えてこない』と、作演出家は書いているし・・・。
ただ残念ながら、僕は逆に最後まで仰天に馴れずに“本当のこと”が見えずに終わってしまったみたいです。
さて。劇場入りまで3週間となった『いちゃりば兄弟』にも、家族は出てまいります。長くなったので、そのあたりは別の日に書くとして・・・
椅子と家族以外にもまだあった2作品の共通点を、もちっと書いて終わります……。
どちらも照明/磯野眞也、音響/黒沢靖博。新宿の劇場。
以前東演に所属していた役者さんが出演(『円山町~』石川恵彩氏、『平面~』辻谷耕史氏)。