本を読んでも そのそばから忘れてしまう爺さん。以前読んだことのある本の題名まで忘れてしまい 同じ本をまた図書館から借りてきてしまい 読み始めてからそれに気が付く等の失敗も何度か有る。
そんなヘマを防ぐためにも 読み終えたら直ぐ 忘れない内にブログに書き留めるようにしている。
図書館から借りていた 藤沢周平著 「時雨みち」 (新潮文庫)を 読み終えた。
「帰還せず」「飛べ、佐五郎」「山桜」「盗み喰い」「滴る汗」「幼い声」「夜の道」「おばさん」「亭主の仲間」「おさんが呼ぶ」「時雨みち」の 短編11編が収録された短編集である。
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藤沢周平著 「時雨みち」
「帰還せず」
加治藩で5年の探索を終えて江戸に帰った幸七こと公儀隠密塚本半之丞は 組頭から 同じ組屋敷の隠密山崎勝之進が帰還していないことを告げられ、その生死確認のため 再び加治藩小出加治へ潜入するよう命じられる。
「飛べ、佐五郎」
12年前に北陸の小藩で御納戸方貝賀助左衛門を斬り、出奔した新免佐五郎は追われる身 おとよの家にころがりこみ世話になる。兄の仇討ちのため江戸まで追ってきていた貝賀庄之助が病死、有頂天になる佐五郎であったが おとよに・・・・・、
「山桜」
津田家に嫁したが夫と死別、磯村家に再嫁した野江、磯村家の家風とも夫庄左衛門とも溶け合わない。墓参りの途中出会った手塚弥一郎との行く末は?
「盗み喰い」
政太は 夫婦約束していたおみつに 腕は良いが体の弱い、どうしょうもない弟弟子助次郎の面倒をみてくれと頼み込んだのだが・・・・、
「滴る汗」
森田屋宇兵衛は 徒目付鳥谷甚六から「城下に公儀隠密が潜んでいることが知れた」と聞かされ 総身の血が冷えるのを感じる。まさか・・・、
「幼い声」
子供の頃に おきみから 「新ちゃん、またね」と言われたことを 櫛職人新助は覚えている。そのおきみが人殺しで牢屋に。同じく幼馴染の富次郎と新助は・・・・。
「夜の道」
おすぎを 15年前に攫われた娘ではないかと思い込みんでいる糸問屋伊勢屋の女房おのぶ、果たして・・・。
「おばさん」
下駄職人だった亭主兼蔵を亡くし 落ち込んで暮らしているおよねは 裏店の井戸端で倒れていた若い男忠吉を泊まらせるが・・・、
「亭主の仲間」
疑いを持たず100%人を信じてしまう辰蔵が 一見若くて人柄が良さそうな安之助を連れてくるが 辰蔵の女房おきくの隠し金が目当てだったとは?
「おさんが呼ぶ」
おさんは 紙問屋伊豆屋の下働きだが 度はずれの無口で 小僧達から「おさん口無し、カラスの子」等とはやしたてられた。小川村から売り込みに来て逗留した紙漉屋兼七への思いが募り、ついに 「兼七さん、待ってください」、澄んだ女の声を発した。
「時雨みち」・・表題の作品
芝神明あたりでは知らない者がいないほどの太物卸機屋の主新右衛門の前に ひょっこり 若い頃の奉公人仲間の市助がたずねてきた。新右衛門は 古い話を持ち出され、別れた女おひさの境遇が気になり出すが・・・・、「機屋の旦那も 大したことはないのさ」 新右衛門は 胸の中でつぶやいた。