角川文庫 平成3
持ち込まれた本で、ずっとトイレの棚に置いてあった
が、何か詩のようなものが書いてあるのだと、ずっと
思っていた。この度、手に取ってみると、〈字のかける
紙ですので、表や裏に字をかいたりして、いろいろに
使って下さい〉とあり、花の写真がハガキになっている。
メキシコを含む、全国の花の写真で、平成3なので、いい
具合いに退色していて、ステキである。これを持ってきた
方は、はて、何で持ってこられたのだろう。
それで、ぼくはこれをいかように利用すんべ、と悩むの
であり、手紙を誰かに出すべえか、と思うものの、一体、
どなたへ? 誰もだす相手を思いつかない、というか、
いない、のである。淋しい人生だな、痛感させられるため
のものか、そうか、こういう気持ちになったから、持って
こられたのか、とガッテン承知した。
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