古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

不在     鶴岡 卓哉

2020-10-22 09:42:53 | ポエム

言葉の奔流が脳に溢れ出す

 

そして僕はすごく疲れるんだ……とても

 

哀しいことに僕は愛に疲れた

 

もう誰も愛すことはないだろう……確信

 

メガネが折れてしまった

 

もう僕にはなにも見えない

 

魚の群れも亀の甲羅干しの姿も

 

君のふくれっ面も……もう

 

音楽が僕に触れ……死にそうだ

 

本当にピンチな時は誰も助けてはくれない

 

グッピーの七色がキラキラ光って……僕をちょっと……

 

君は僕の邪魔をする……いつも

 

散漫な僕の詩はいつも地鳴りのように自分自身を

 

ためらうことなく進め!

 

僕はそっと立ち上がり、僕の言葉を風のように

 

君の元へ運ぶだろう……マジックのように

 

ただ僕は、その時すでにそこにいないだろう

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベホイミ     鶴岡 卓哉

2020-10-21 13:35:44 | ポエム

緑色の喧騒に彩られたバイクの影

 

山々にこだまする街のノイズ

 

ボクのため息に亀裂が入る

 

また、心に棘が刺さる……出血している

 

缶を蹴飛ばすと……誰かの欠伸が事故を引き起こす

 

気をつけろ! そこには牙を突き立てるドラキュラがいる

 

ボクの口から排気口からでる空気とおなじものがでる

 

船の門出を祝う酒瓶から泡が噴き出る

 

彼女の心にはいつも青空があるんだ

 

ボクはそれを知ってる

 

語りかけるととろけそうになる

 

金色のスライムがボクに攻撃を仕掛ける

 

ベホイミで回復しても間に合いそうにない

 

ボクはいつも死にかけている

 

大雨の日に溝にハマってしまった子犬のように……

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シドニー2 ワラビー熱血篇   村上春樹

2020-10-20 10:57:14 | 本の紹介

文春文庫      2001年

 

オリンピックは退屈だと、言い切る春樹氏。たしかに

 

オリンピックは退屈である。そこに、この本の挑戦が

 

あるのだと思う。その退屈をどこまでおもしろくみせ

 

るか。やはり、そこには感動があり、永遠性みたいな

 

ものがあると、春樹氏は教えてくれる。輝きや、迸り

 

の中にある青春の熱血。

 

ワラビーは時として、毒ヘビに丸のみにされると書いて

 

ある。我々は現実に、生活に、丸のみにされ、消化され

 

てしまう。その喘ぎこそスポーツであり、芸術なのだ。

 

資本主義の餌食になったオリンピック。カネ的なしがらみ

 

の中で、一番おカネとは遠いべきものであるはずのスポー

 

ツはいつしか、メディアと言う皿の上に乗った、ごちそうに

 

なっていく。

 

オリンピックかあ……ボクもあんまり興味ないかなあ……けど、

 

この本に影響されて走って、膝壊しましたけどね、ぐわし…

 

…合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シドニー!1 コアラ純情篇    村上春樹

2020-10-19 03:32:24 | 本の紹介

文春文庫   2001年

 

シドニー・オリンピックは2001年におこなわれた。

 

それを春樹氏が現地へ赴き、取材したことを描いている。

 

巻頭に二編、短編をあげている。犬伏選手と言うのを、

 

ボクは知らなかったのだが、ボクと同い年のタメ、もち

 

ろん、リタイヤされているが、マラソン日本最高記録保

 

持者だったとか。うーん、マラソン範疇外だもんな、

 

見たかもしれないけど、覚えてはいないかなあ。

 

サッカーと野球。サッカーは一日千キロクルマを走らせて、

 

見に行ってらっしゃる。うーん、スゴイ執念。サッカー、

 

そんなに見たいか? 見たいんでしょうねえ。ボクは

 

いいですけど。野球? 野球もカープさえ見ないもんなあ。

 

でも、松坂がピッチャーだったら1イニングぐらいなら見

 

てもいいかな。

 

閉会式って、退屈って言い切っていいんだと、発見だった。

 

あれって、やっぱり退屈だよなあア。おもしろくみさせよう

 

っていうのが退屈さを誘発していると思うのだけれど。

 

東京オリンピックかあ、成功すればいいと思うけど。あん

 

まり興味ないかなあ、ぐわし……合掌。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

準備    鶴岡 卓哉

2020-10-18 05:09:33 | ポエム

やることもないので、薬を飲んでラリっていた

 

音楽が立派すぎて自分を恥じ入った

 

TVには誰かしらない女性がボクを見ている

 

セミの鳴き声がする

 

夏はとうに終わったはずである

 

ボクは詩人にはなれそうにない

 

そんな気がしてならない

 

空には薄っぺらいサンマが三十二匹泳いでいた

 

二時になると窓から何かがきて

 

ボクをさらっていくんだ

 

カリフォルニア・コーラを三本飲んだ後

 

ボクの身の回りを整理しないと

 

間に合わなくなるからね……

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日常    鶴岡 卓哉

2020-10-17 11:53:27 | 詩・ポエム

格闘する日々にうんざりしたオレっちは

早朝に、うらびれた路地を歩いていた

そこで奇妙なタケノコを見つけた……

それを食ってみると大したことは起こらず

オレっちはがっかりした

長い通路を走ってみた

転んで三回転したが、それでもオレっちは走った

行き止まりに辿り着くと、右に折れ……

また行き止まりまで走った

転がる石のように……オレっちは走った

埠頭の先で釣りをしてみた

セイゴが十五匹釣れた、フライにすると美味かった

奇妙だ、奇妙だ、とセイゴのフライが呟いた

オレっちは訝った

雨が降ってきたので、夜は家にいた

夜中になって、缶ジュースを買いに行くと、777で当たらなかった

コーラを久しぶりに飲むと、アワアワが心地よかった

音楽はオレっちを誹謗した

そして、深夜、不思議な夢を見て、ゲラゲラ笑った

笑い声は明るい部屋に反響し、更にオレっちは笑った








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未来音楽     鶴岡 卓哉

2020-10-16 02:38:05 | ポエム

靴下の中の望遠鏡、いつもみてた

 

犬の尻尾つかまえて、空に投げた

 

弧を描いて、靴下の中にスポッと入る

 

僕はまた力こぶつくり、陸へのぼる

 

水の中でパフェをつつき、金色のスプーン舐めて……

 

ふとしたとき、僕の手の中の音符、踊る

 

跳ねるんだ……その静かな湖面のダンスフロア

 

パイナップルの形をしたラヂオ、流れる未来音楽

 

感じやすい形、猫のヒゲの長さ

 

僕はここにいて、空の真ん中でたべる魚の骨

 

君はそこにいて、やっぱり、僕のこと想う?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河童が覗いたトイレまんだら    妹尾河童

2020-10-15 09:34:15 | 本の紹介

文春文庫   1987年~90年

 

10年くらい前にひとり暮らしをしていたアパート

 

は和式だった。今、考えると、タイヘンだったの

 

ではないのか、と思うが、12年くらい暮らしたが

 

イヤだな、と思ったことは一度もなかった。

 

気にもしていなかったのではないか。若いころなんて

 

そんなもんでしょう。

 

今は月曜日が休みだが、いつも出掛けるので、一気に

 

でなくなる。もうダメである。家のトイレじゃなきゃ

 

大はでなくなった。としであるな、と観念するしかな

 

い。

 

この本には52名の著名人のトイレが俯瞰図でのって

 

いる。もう30年も前の本なので、死にはった人や、半

 

リタイヤの人など様々だ。おもしろい話しもいろいろきか

 

せてもらったし、わしはうちでゆっくりうん××でもするか、

 

もちろん、うんどうである、ぐわし……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

擬態    鶴岡 卓哉

2020-10-14 09:56:45 | ポエム

太陽の芯を探し当てる

 

明日の破片が猛然と襲いかかってくる

 

竜巻のようなエナジーが井戸の底で弾ける

 

まるで夢の片隅で蹲っているかのようだ

 

柔らかなソファに座ると、両側の景色は素早くうつりかわる

 

誰かの吐息が僕の口元にかかる

 

病気の男のものかもしれず、処刑される直前の囚人のものかもしれない

 

この世で一人も見たことのない景色を求めて

 

鳥になることに恐怖するのは、贅沢か……

 

いや、蟻のように、不死身になるのも悪くない

 

空の端で喘いでいるトンビの羽の染み

 

僕の魂はまだ僕のものではない

 

涙が僕のものではないように

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ある男     鶴岡卓哉

2020-10-13 10:11:46 | ポエム

沸き起こる雷鳴の雄叫び

 

オレは地面を引き裂く

 

地球を真っ二つに割ってやる

 

自分を変えるためにはそれが必要なのさ

 

つんざくオレの耳に突き刺さるアイスピック

 

どうかしてる週末……ヤツらときたらなんでもかでも笑いにしちまう

 

オレはチャリを漕いで二十キロ先のコンビニに

 

雷の閃光はオレをなだめる

 

それでびしょ濡れになっちまった

 

スクラッチの躍動のような雨粒に踊るオレ

 

まるで舞踏病のように

 

たしか、オレの頭ン中で君の言葉がちらつく

 

それは革命的ななにか

 

わかってる、それを忘れちゃいけねえことは

 

でももう遅い……オレは一線を越えちまった

 

体重は百二十キロあるんだ……悪いな……そこをどいてくれ

 

座りたいんだ……そうだ……そこをだよ

 

働き過ぎだ……ハードワークデイズだよ……で、びしょ濡れだよ

 

失敗だった……思いつきで始めただけなんだ……!

 

中央通りを抜けると、平和な道に出るらしいが……

 

呑気坊主がとんちを繰り出す、そのとんちはいつもトンチンカン……

 

悪いが、その話しにオチはねえ、腹が立つだけだ

 

ソフトクリームに夢はねえ、オレのトロトロのアツアツに挨拶しろよ

 

まあ、そう硬くなるなよ、スポーツ選手がやるように、準備運動

 

肝心なのは、その鍵が開くかどうかだ

 

オレには元々ストーリーなんてねえ、とっちらかった部屋で体育館座り

 

パワーをもらいたいだけさ、気がとっちらかったままだ

 

ペン・ジョッキー(P・J)と呼んでくれよ、そうすりゃ機嫌いいぜ!

 

言葉の重要性のランク付けをしてるらしいが……そんなのクソだぜ

 

神への冒涜をすれば、それで完成なのさ

 

全てをクリアして一から組み立て直すんだ

 

積み木を叩き壊すように……オレの心を叩きのめせ

 

ドレスを引き裂き、背中に赤いスジをつけてやるぜ

 

完成させることだけがオレの望みなんだ

 

一つ一つ磨き上げて、オレの指の一本一本に嵌めてやるんだ

 

お前はまだ知らない

 

オレがどんな男かを。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする