古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

蚊      椎名誠

2020-10-11 09:29:29 | 小説の紹介

新潮文庫       昭和59年

 

その昔、21:00からのテレビで黒の絨毯という

 

映画をやっていた。これは、いわゆるアリである。

 

アリが大量に発生してしまってたまらん、というや

 

つである。ヒッチコックの鳥というのもあった。こ

 

れは鳥が大量に発生してしまってあれしてしまうって

 

いうあれである。やたらにあれが多いんである。

 

蚊は蚊が大量に発生してしまう、という意表を突いた

 

作品だ、短いのだが、オチがないのも特徴だ。じゃあ、

 

とりあえず、終わっちゃうよっていうね。ちょっと

 

残念と言うか、ワンアイデアで乗り切ってしまった、

 

というか。

 

山田の犬は、電車の中の犬について語った、何回か読んだ

 

ことのあるような話しだった。

 

ボクが一番気に入ったのは冒頭の一発目、真実の焼きうどん

 

、ね。デテールにまで気が配られていて、実に洒脱でパンク

 

だ。狂気というものが描かれていて、実にユカイ、ユカイ、

 

な作品である。

 

若いひとに、ぜひ読んでほしいと思う作品集である。ぐわし

 

……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人生がおもしろくなる! ぶらりバスの旅  イシコ

2020-10-10 10:07:51 | 本の紹介

幻冬舎文庫   2018年

 

あまりおもしろくなく感じ、二度読むのをやめたが

 

おもしろくない本にもそれなりに見どころがあるの

 

では(途中でやめた本は、ここでは紹介していない)

 

と思い、もう二度手にして、読み通した。

 

イシコというペンネームから女性かな、と思ったが、

 

おっさんだった、金髪の。

 

海外の話しと国内の話しがアットランダムに書かれ

 

ている。時系列なのかな、とも思うが。

 

ラストで母上が寝たきりになられたことが、書かれて

 

いて、あぁ、旅人にもおっかさんがいるんやな、と当

 

たり前やな、と気づかされたり、しんみりとした気分

 

になった。

 

べつに人生はおもしろくならなかったし、退屈に強く

 

なる、というか、刺激の強いのばかり読んでいたので、

 

こういうほのぼの系もたまにはいいか、とも思ったり。

 

ぐわし……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パーマネント・バケーション   鶴岡 卓哉

2020-10-09 07:45:22 | 詩・ポエム

誕生した……月の中に……葉の陰に……ナイフの先に

僕らの知っている言葉の中に……ない

こうなったのもすべて自分のせい……かもしれない……

衝突のようなものであった

またしてもやられてしまった……

ヤツらの策略はお見通しだ……いつも同じ手……

勝ち方を知らない僕らは……それでも、また敗北する

いつまでも手を動かし続けるが……僕には、壁の染みしか見えない


端的にこういうことは……ハサミの使い方に似ている

外で遊んでこようか……ウチで十年遊んだから……

TVの中では殺人ゲームが日夜行われている

弾の中に憎しみは誰が解放するのか?

0と1の間に不安な感情がよぎる

それでも、戦い続けるのか……視線の先にはいつもヤツの目

傲慢な僕らの意図を汲んで、変革せよ、かい

まったくヤツらにはこりごりする

休日はいつまでも終わらない……

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アジア「裏」旅行   平間康人

2020-10-08 04:07:25 | 本の紹介

うん、アジアは怖ぇ。それでも、平間氏は行く

 

というのだから、それに値するおもしろさを平間氏

 

は感じておられるのだろう。ボクにはちょっとわか

 

りかねるが。

 

インドで列車に乗ると、荷物を狙われる、というのは

 

もはや常識らしい。

 

うーん、ボクはインド文学フリークで、インドに関する

 

クソな話しが大好物なのだが、ここにも好物あった。

 

でも、行かないですよ、ボクは、ボクはね。

 

いろいろ好物がありすぎて、夢中で読んでしまったが、

 

アジア、クソだわ。そのクソなところがいいんだわ。文学

 

的に言っても、そこから、おもしろいものが生まれる気配

 

……濃厚。じゃあ、行って来いよ、おメー、と言われても

 

ボクちん、行かないんですねえ、ぐわし……合掌。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代作家ガイド3  ウィリアム・ギブスン

2020-10-07 09:14:39 | 本の紹介

巽 孝之(編著)   1997年   彩流社

 

W・ギブスンという作家をフツーに読んで、読み

 

解くというのはなかなか骨の折れる作業だ。

 

だいたいなにを書いてあるのかよくわからない。

 

というのが一般的な感想だろう。

 

そのフンイキを楽しむのもアリかもしれないし、

 

言葉のリズム感を堪能するのもアリかとも思うが、

 

たいてい、この人の作品は詩なんだと思う。

 

この本はW・ギブスンについての書評であり、人と

 

なりについて、作品についての恰好のテクストになって

 

いるが、これまた、わかりづらい。

 

ボクは40パーセントくらいしかわからなかった。いや、

 

見栄を張った、さっぱりわからなかった。いやはや、2001

 

年ころにニューロマンサーは読んだが、そのときはどう

 

だったっけなあ。わかったふりをするだけ、理解者ヅラを

 

していたと思う。

 

この本に収録されている「ダンボール都市13景」はけっこう

 

おもしろく読んだ、うん、読みやすいことは読みやすかったよ

 

、ぐわし……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

睡眠      鶴岡  卓哉

2020-10-06 08:29:20 | ポエム

土台無理な話しなのだ……設定はむちゃくちゃだ

 

無様な死に様……犬の舌のような死……

 

わからぬ……筆記に中に秘めたる指の間の匂いの勝利だ

 

だめだ……そこにある簡単な血に染まる缶詰めのような感情

 

明日にはきっと死が訪れる……夜明けのような溜め息の狭間に……

 

この間隙に来訪する外来種……敵を吞み込む

 

ヘビのような舌使いの女……満腹である

 

もうこれ以上食えぬ……牛の睾丸まで食い尽くした

 

この達成は至上のものであった……薬中の妄想……

 

誰も会いに来ぬ……果たしてこれいかに?

 

ハイヒールの踵を舐める……

 

彼女は足を組み、手錠で顔を映して、付け睫毛をつけた

 

眠い……昨日から一秒も寝ていないのだ……

 

でも、眠ることは許されない……

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鶴岡たかスケッチ展せまる!

2020-10-04 09:40:21 | カフェ、ギャラリー

鶴岡たかのスケッチ展が10月6日からはじまります。

 

うしたの風景を鮮烈に描いた絵を見て夏の記憶を辿れば、

 

きっとたのしかったあの日々が数珠つなぎに思い起こさ

 

れていくでしょう。

 

あの夏に続く、僕らの(私たちの)輝かしい日々が。

 

僕らは、生きているという躍動が、この瞬間を彩る十点

 

の作品があなたを待っていることでしょう。

 

カフェは風通しの良いパーパーのところなので、コロナ

 

で密になることもないでしょう。

 

秋の気配の中でスペシャルティ・コーヒー(そのほかにも、

 

ブルーベリーの生ジュース、生ゆずジュース、生梅ジュース

 

があります)を飲みながら、ご鑑賞はいかがですか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

哲学の本質     鶴岡 卓哉

2020-10-04 08:14:25 | ポエム

言葉にならない抽象を追い求めて……

 

タバコに言葉はいらない……煙り……神秘……時間!

 

大抵のことにはルールがあるが、おれにはねえんだョ!

 

わかった……それは哲学的目覚め!

 

そこにもろに立ち竦むような異様な景色が

 

私たちはカラーを見ていた……カラーは生物だ……カエルのような

 

リズム……そこにこそ……躍動する肉体……火中の動脈

 

……そこにあったものこそ真理だ……僕は見た……

 

太陽のぎらつく……季節が始まった……俺の体は灼ける

 

連続性の忘却の中に、ビートが……

 

喉の中にヌルッとした硬いものが……血の塊だ……

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塔      鶴岡 卓哉

2020-10-03 10:15:27 | ポエム

僕らは旅立ったばかり、永遠を探す旅だ

 

毒牙によって少女は永遠性を失った

 

変化こそ僕らの待ち望んでいたことだ

 

僕らは変わり続け、酷くなっていく

 

恐怖の仮面を剥がすときが来た

 

ヤツらはそこにいる

 

……ことに面食らっちまったんだ……もう抜け出せない

 

遠い目覚めのうちに、僕は待ち望んだものを見た……

 

途方もなくでかい黒くくすんだ塔を僕は見ていた

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリーンピース   鶴岡 卓哉                                                                                                                                                                                                                                               

2020-10-02 11:59:12 | 詩・ポエム

暗い夜道に月光で照らされたグリーンピース

危険に満ちた僕のおでこのカッターの傷

甘い紫色のキャンディーの香りを吸い込んだ僕の鼻腔

凹んだアスファルトに躓いた君の足先

乱雑な色で塗りたくられた壁に叩きつけるおでこ

ラッパの音が朝靄に響くが僕はそこにいない

遠く隔たった場所で息を荒げて皿の上のグリーンピースを

フォークで突き刺している

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする