タバコの紫の煙りに映る夕べ
デッキチェアーでラリってる少年
少女はナイフのような心で万引きする
男が逃走する……脱兎のごとく
海で泳ぐ豚の親子
四十になったことで、落ち着くオヤジ
パワーを全開にして走り去るトラクター
言葉の中に真実を見出した二十二
悪い友人とツルんで逃避行だ
金魚鉢の中の六匹の凍り付いたメダカたち
点けっぱなしのトイレの電灯に群がる羽虫
節約に明け暮れる日々……僧侶のように
米粒に書いた文字に願いを込めて
明日にはきっといいことがある……希望
雨粒が僕の額で蒸発していく音
聞き逃せない音楽のラインナップのラジオショー
グラビアの少女が自殺を図る
手で隠した乳房に男が群がる
僕は走り出した……赤い夕陽の中で
六十年代の青春ドラマのような幕切れ
また、それもいいか