古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

誰も信じまい      鶴岡 卓哉

2024-09-17 06:25:50 | ポエム

僕は誰も信じることができない


信じるに足る根拠もないし、理由もなく


真実を知りたければ、ドアを叩けばいい


誰かの心はそれで開かれる?


ボクは荒野でひとり、求めている


ドアを探し、理由を探す


どこにもボクの求めるものはない


頭の中にしか追い求めているものは


存在していないのだから………………

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さかだち    柴田錬三郎

2024-09-17 06:08:22 | 小説の紹介

「奇妙な味の小説」所収。

 

と、短編小説を16編収めた、この「奇妙な味の

 

小説」をみていこうという趣向なのだが、みっつ

 

めがこの「さかだち」。

 

柴田錬三郎と言えば、眠狂四郎シリーズだが、これは

 

それとはまったく違う、徴兵の赤紙の来た男が、死ぬ

 

のが怖くて、山に逃げ込みそこのホテル、いや、旅館

 

か、で女がいいものを見せてあげるから、兵に行きなさい

 

と言ってさかだちするっていう話し。それで、この女は

 

次の日、自殺してしまう。これは全くの虚構、作り話らしい

 

が、さかだちして、パラッと下肢が見えてしまうっていうのも

 

エロいね、いや、この人、エロいわ。

 

(読了日 2024年8・25(日)22:30)

                (鶴岡 卓哉)

 

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わたしの献立日記  沢村貞子

2024-09-15 22:38:23 | 本の紹介

新潮文庫 昭和63年

 

昭和41年から付けられ始め、22年間続けられた

 

夕食と朝食のメニューの書かれた献立日記。

 

すごく贅沢な食生活だなあ、と思う。フルーツたっぷり

 

夕食でもメーンになり得る料理が2種は並ぶ。

 

装丁も安野光雅氏の赤かぶの絵。こういう当たり前の

 

いい装丁って最近ないなあ。22年間で30冊になった

 

献立帳は内田百閒氏のメニューを書き連ねた献立帳にも

 

通じるところがあるな。

 

和食がほとんどというかすべてで洋食はなかったみたいで

 

す。

 

(読了日 2024年8・24(土)14:40)

               (鶴岡 卓哉)

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秘密   安岡章太郎

2024-09-14 01:34:50 | 小説の紹介

中公文庫 「奇妙な味の小説」所収。 吉行淳之介・編

 

勝鬨橋(かちどきばし)に出たんである。

 

あまりにも巨大なあれが。

 

「蛸(たこ)」である。その大蛸は街中まで進出し、電話

 

ボックスに逃げ込んだ僕をさえ襲って来るのである。しかし、

 

そのことについては新聞やTVでもやっていない。

 

言ってはならぬ、と何処かからか声が聞こえて来るだけだ。

 

「僕」は狂ってしまっているのか。幻覚を見ているのか。

 

リアリティのはざまで生きる僕の冒険譚だ。

 

(読了日 2024年8・24(土)1:05)

              (鶴岡 卓哉)

 

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暑さ    星新一

2024-09-13 04:47:52 | 小説の紹介

中公文庫  「奇妙な味の小説」所収。 吉行淳之介・編

 

とても暑い風もない日、交番にひとりの男が

 

自首してくる。

 

暑さがたまらないのだそうで、子供の頃から

 

アリから始まり、カナブンを殺し、カブトムシ

 

そして、昨年は猿を殺してしまったそうだ。

 

いや、今年の夏はそれにしても暑い。暑くて

 

人を殺すやつもいるかもしれない。ぼくも、

 

さっき……いや、やめておきましょう。

 

今でこそ、動物愛護法で捕まってしまうだろうが、

 

この頃は、まあ、時代ですかね。

 

(読了日 2024年8・24(土)0:10)

               (鶴岡 卓哉)   

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華氏451度 新訳版 レイ・ブラッドベリ

2024-09-12 01:38:36 | 小説の紹介

伊藤典夫・訳 ハヤカワ文庫 1953年

 

この本は僕には珍しく蔦屋で新刊本で買い求めた。

 

この本は訳が新しい方がよかろう、という判断である。

 

旧訳はどうやら、やはり、かなりマズいらしく、読めた

 

代物ではないようだ。

 

この華氏451度は紙の自然発火する温度で、昇火士という

 

本を燃やす焚書をする男のことを書いている、ディストピア

 

小説だ。

 

SFの文体にもすっかり慣れ、すんなりと読めたので、火星

 

年代記にも挑戦しようと思っている。

 

すごく面白かったし、独特のSFの雰囲気がすごく好きだった。

 

(読了日 2024年8・23(金)23:05)

                (鶴岡 卓哉)   

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木   幸田文

2024-09-11 06:15:04 | 本の紹介

新潮文庫   平成4年

 

幸田氏の手によるこの木というエッセイは絶筆と

 

いうことである。随分、品のある文章だな、と暑

 

さにお脳をやられつつ読んでいて思った。

 

倒木が一列になって、樹が生えて来る、というのを

 

信じ、見に行ったり、ある棟梁から、木は二度生きる

 

伐られてから製品になってまた生きる、と教えられ

 

ホントに死んだ木を見せてやる、と言われたりする。

 

老大木を見に行って、歩けなくなり、負ぶって、見に

 

行ったりしている。かなり廻りに迷惑をかけているよ

 

うだ。そういうのが平気な質らしいね。

 

このエッセイ集は1971年1月号えぞ松の更新から

 

1984年6月号ポプラまで、文氏の作家人生全般に

 

渡って書かれたものを集めているという。このポプラ

 

というのが絶筆ということらしい。

 

(読了日 2024年8・22(木)23:44)

               (鶴岡 卓哉)

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一日 開高健

2024-09-10 00:37:48 | 開高健

新潮文庫 平成2年

 

開高氏も参戦したヴェトナムの日々のことを描いている。

 

でも、ルポというんでもなく、やはりこれは文学である、と言えるのではないか。

 

水井君という青年が、引っ越し先で弾の破片を頭に喰らって、死んだ

 

ことが描いてあって、頭をベッドで反対にして寝ていた。そして、土嚢が積んで

 

いなかった。数々の不幸が連なって亡くなったという。人の死ぬとき

 

というのは、そういうものなのかもしれない。数々の不幸が重なって

 

、それで、死んでしまう。本人は戦争の起こっている国にいくくらいだから

 

ちょっとは覚悟していたのかもしいれないが、その日、寝ていて死ぬとは

 

思っていなかっただろう。死とは唐突に、突然襲い掛かるものかもしれない。

 

うーん、僕はわりと運はいい方だと自負しているね。いや、かなり

 

いい方だと思うけどね。曲がり角を曲がると死神とばったりと出くわすかも

 

しれないから、気を付けないと。

 

(読了日 2024年8・22(木)8:25)

              (鶴岡 卓哉)

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花終る闇   開高健

2024-09-08 04:59:12 | 開高健

新潮文庫  平成2年

 

書いた? 書けん! というペンネームを愛

 

したという開高健氏の絶筆の一遍。

 

ラストの部分は一部が重複するのだがいいのだろ

 

うか? リフレインってことか? 昔の作家は同じ

 

ことばかり書いていたから、そういう手法なのかも

 

しれん。また、ベトナム、交わり、くんずほぐれず

 

して、悔恨、逡巡、泥濘に溺れて、立ち往生する

 

話しだ。

 

世界のところどころに現れ出ては、人の世に生きるのは

 

辛いぜ、と言いたいばかりに、詩的、メタモルフォーゼ、

 

白皙の腕に止まる蝶の如く、自由で、華憐、な言葉

 

遊びが弾ける。ぼくが師と崇める男、開高氏の生命の

 

絶叫を訊け。

 

(読了日 2024年8・21(水)11:31)

                (鶴岡 卓哉)

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ダンス・ダンス・ダンス(下) 村上春樹

2024-09-06 06:58:01 | 小説の紹介

集英社文庫 1988年

 

30年くらい前に、飛ばし読みしたが、今回はじっくり

 

と読んだ。ドルフィン・ホテルはいるかホテルと呼ばれ、

 

羊男は結局、何処かに行ってしまう。そして、ハワイ。

 

ハワイだ。ハワイなんてディズニーランドと似たり寄ったり

 

だ、という指摘通り、ぼくはハワイあんまり好きじゃない。

 

でも、ここでは重要な場所として描かれている。

 

「僕」はいるかホテルの僕のための場所で踊り続けるように

 

言われる。誰よりもうまくステップを踏むんだ。踊り続ける

 

んだよ。「僕」は華麗に踊る。そして、人は死に、コールガ

 

ールは殺されてゆく。スペシャルな人の物語なのだな、と思う。

 

誰もが自分のための場所があると信じたいのだ。誰もが踊っている

 

 

DANCE TO THE PEOPLE。人々は踊って人生を描いてゆく。

 

僕はうまく踊れているのだろうか、自信がない。

 

想像力がなくて、つまらないジョークばかり言う、やりチンで

 

さげチンの「僕」の冒険記。

 

(読了日 2024年8・16(金)23:03)

                (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

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