えー、こういうのは、なるべく見ないことにしたいと思いつつ、つい見に行ってしまった。
怖いもの見たさ、ということですね。まあ、だからこそこういう映画も成り立つ。
意外と、若い男性ばかりじゃなくて、女の子や、私みたいなオバサンも、観ていました。
で、どうなんです?
それがね、ウン、確かにハンニバル・レクターは、必要以上に残虐だし、カニバリズムだし・・・、でも何というか、感情移入しちゃいましてね、彼が襲われるようなシーンでは、つい、応援しちゃいますよ。
それはやはり、今回明かされる彼の生い立ちのせいなんですかね。
それは多分にあります。少年のハンニバルはリトアニアの裕福な家の子なんですけどね。二次大戦下、ドイツ侵攻、それに対抗してソ連軍が入り込んでくる。そんなドサクサで、彼は両親・妹をなくしてしまう。特に妹は、脱走兵の集団に殺されてしまい、彼にとっては強烈なトラウマとなる。その後、彼は元自分の屋敷であったところを改装した孤児院で、成長。
これで、まともに育つほうがムリ・・・と。
うん、それにね、美しい青年なんですよ。ハンニバルが・・・。
何だ、感情移入の原因って、むしろそれ?
否定できません!
お定まりながら、孤児院でも虐待を受けた、と。
はい。それで、とうとうある晩脱走して、唯一の身内の伯父さんが居るフランスに行く。そこで、伯父さんは亡くなっていたのだけれど、その妻が孤独に暮らしていた。
ほう、それが、コン・リーなんですね。あの、「SAYURI」に出ていた。
はい、日本人で、その名もレディ・ムラサキ。なんで、夫亡き後日本にも帰らず、こんなところで1人で暮らしていたかというと、彼女も、身内はヒロシマでみな亡くなっていた、という設定でした。
どこまでも、戦争の影・・・ってところですね。
まあ、日本人からするとやはり、ちょっと変なんですよ。鎧の前で、先祖へお祈りしてたりして。
仏壇なら、わかるけどねえ。
ただ、欧米人からすると、たぶんにミステリアスで、エキゾチック。その雰囲気はたっぷり出ていましたねえ。
で、ハンニバルは彼女に剣術を習ったりして強くなるのだ!いいですよー。美しい青年に日本刀!
なるほど、そこで、すっかり感情移入ね。
そこからははっきり言って、必殺仕事人です!
ほえ?
彼の妹を殺した兵たちを探し出して、復讐を遂げるのです。一人、また一人・・・、残虐に。
なるほど、そのような動機がある故に、さほどまで憎めないということね。
たぶん、そういうことかなあ。だから、結局、意外とイヤではなかった・・・と。
ところで、この監督は、「真珠の耳飾りの少女」の監督なんですってね。
えっ!。そうなの?何でまた、あのような芸術性をすら感じる作品の監督が、こんな映画の監督を?
さあ、なぜでしょう・・・。色んなジャンルに挑戦してみたかったんでしょうね・・・、多分。ハンニバル役のギャスパー・ウリエルは、フランス人で、「ロング・エンゲージメント」に出ていた。
うそー。見たけど、全然覚えてなかった。
「美しい青年」なのに?
オドレイ・トゥトゥーばっかり見てたかも。
でー、このギャスパー・ウリエルが30年後にはアンソニー・ホプキンスみたいになるデスか?
なりませんって!!
2007年/フランス=イギリス=アメリカ/117分
監督:ピーター・ウェーバー
出演:ギャスパー・ウリエル、コン・リー
ハンニバル・ライジング スタンダード・エディション [DVD] | |
ギャスパー・ウリエル,コン・リー,リス・エヴァンス,ケビン・マクキッド,ドミニク・ウェスト | |
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