映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「C-blossom」福井晴敏

2007年05月09日 | 本(その他)

「C-blossom case729」福井晴敏作 霜月かよ子画 講談社文庫

コミックなんですが、講談社文庫だし、前作「6ステイン」の続きのようなものなので、ジャンル・カテゴリーとも、「本」とさせてもらいました・・・。

さて、先日の「6ステイン」6つの染みに続きがありまして、7つ目の染みがこれ。
何と、これはコミックです。
別に買わなくてもいいかなあ、と思ったのですが、よく見れば、これは前作7番目の続きの物語で、如月行くんが出ているではありませんか。
これは外せない!!
主役は、前作で防衛庁の巨額横領事件の犯人とされた、松宮氏の娘、香奈。
女子高生ですが、父の事件により、これまでの学校に居られなくなってしまい、転校したものの、友人も出来ず、孤立。
そんなところへ現れたのが、如月行と名乗る教育実習生。
ウ~ン、なんかちょっと違うなあ、イメージが・・、
と思いつつ読み進めば、何とこれは偽者。
その後出てきた本物は、確かに、彼のイメージそのもので、なかなかよいと思います。
この偽者というのが、ダイス時代、常に、如月行をライバルとして意識していた、東谷芳樹。
しかし如月くんの方は全くそのような気はなくて、これはほとんど片思いして無視された状況に近い。
だから、余計ににくさを増し、必ず、如月を陥れてやろうと燃える男、東谷。
しかしこれがまたなかなか壮絶なラストへと続くのであります。


如月くんは、香奈の護衛の任務に付くのですが、防衛庁の複雑な利害関係により、香奈のみならず、自らの命をもかけた決断を迫られることになるのです。
もとより、彼は自分の命よりも、上からの命令を守ることを規範として生きている。
いったいどのような選択が・・・、と息詰まるシーンでもあります。


もともと、福井氏の作品はコミックやアニメ向きだと思うので、これはナイスな企画でした。でも、欲を言えばもっとメジャーな作家に書いて欲しかった。
例えば・・・?うーん、実は最近の作家って、あまりよく知りません。
いっそ、吉田秋生さんなどいかが?