映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ワーキング・ガール・ウォーズ」柴田よしき

2007年05月16日 | 本(その他)

「ワーキング・ガール・ウォーズ」 柴田よしき 新潮文庫

37歳女性。
未婚。
総合音楽企業の企画部係長。
それがこの本の主人公の一人。
勝ち組。されど、負け犬。・・・という設定。
この言い方はどちらも、好きではありませんけどね。
色々なジャンルを手がける柴田よしきさんですが、これは社会派問題?と思いきやちょっぴりミステリ的要素も絡めつつ、働く女性たちのリアルな本音と弱気が描き出されています。
主人公翔子は、仕事は好きで、面白いと思っている。
けれど、職場の人間関係が、なかなか難しい。
他の若いOLには、すっかりお局さま扱いで嫌われている(と、本人は思っている)。
上司は能無し。
多分同年代の男性が感じる以上のストレスを抱えつつ、女性は奮闘しているわけです!
もう一人の主人公は、オーストラリアの旅行会社勤務。
折角留学し英語を見につけたのに、就職先が全然ない。
やっと見つけた今の仕事も、正採用ではないし、日本から来るツアー客のお守り役に神経をすり減らされる毎日。
いつまで、こんなことを続けるのか・・・悩んでいる。

私は結婚という一般的とされる女の落ち着きどころに収まらず、奮闘する女性は大好きです。
私自身はさっさと結婚しつつ、仕事も持っている、というちょっとずるいかもしれない立場なのですが、正直、主婦兼仕事持ち、はしんどいですよ・・・。
いまどきの若い夫婦なら、結構家事は夫と分担しているようですが。
しかし、団塊世代のわが夫は、男子は厨房に入るものではないと心得ているらしい・・・・。
夜、ちょっと遅くなっても気兼ねするし。(その割にはしょっちゅう遅い・・・。)
こんなのなら、いっそ、独身で自分の面倒だけ見てるほうがどんなに気が楽か・・・と、よく思ってしまいます。
だから、私はむしろ、独身OLに、がんばってもらいたい!!
結婚は、幸せのゴールではないですよ。といいたくなっちゃうのです。

この本の女性たちが、結婚を夢見てじたばたしていないところが気に入りました。
現状に不安を抱きながらも、がんばって、そして、なおかつ人間的にも成長していこうとする。
これぞ、現在がんばっている全ての女性たちへのエールとなるでしょう。

オーストラリアにて、2人の女性がペリカンが元で取っ組み合いの大喧嘩。
このシーンが、最高です。