「パール・ハーバー」以来気になる俳優、ジョシュ・ハートネットが出ているこの作品「モーツァルトとクジラ」。
ジョシュ演じるドナルドは、アスペルガー症候群。
映画のチラシ曰く「知的障害のない自閉症」、ということで、つまり人とのコミュニケーションがうまく取れない。
同じ障害を持つイザベラと出会い、お互いに惹かれあいます。
ドナルドは、自分を引け目に感じ、からに閉じこもりがち。
一方イザベラは、思ったことをすぐ口にしてしまうけれど、明るく、自由奔放。
こんな2人だから逆に惹かれあったのでしょう。
近頃よくこのアスペルガー症候群という言葉を見かけますが、私はよく内容をわかっていませんでした。
この映画は、その実情をよく語っています。
一般的な人との付き合いの中で、なんだか変わっている、時々突拍子もないことを言ったり、急に感情の爆発があったりする、そんな人がいたりします。
そんな人たちは、なかなか人の輪に入っていけない、入ってもいつの間にか仲間はずれにされているという状況があります。
この作品では、そんな孤独なみんなを何とかしようと、ドナルドが同じ障害のある人たちのサークルを作っています。
障害というよりは、かなり強い個性なのかも知れません。
このようなことを理解すれば、もっと私たちは、彼らとうまくつきあえるはず。
こんなことを考えるきっかけになる作品です。
さて、でも、ここまでは前フリで・・・、
この物語は単にアスペルガー症候群の障害者の物語ではないと思いました。
例えば、どこか自分は他の人と違う感じ、うまく人となじめない、うまく思ったことを伝えられない。(恋をしたときには特にね!)
そんな気持ちは、多かれ少なかれ誰しも持ったことがあるのではないかな。
恋人との気持ちのすれ違いも・・・。
だから、これは人の気持ちのゆれ幅の振幅が普通よりもっと大きい、いわば象徴的な物語と言えるかもしれません。
障害者が、どうのこうの・・・、と、難しく考える必要はなくて、誰にでもある普通のラブストーリーという受け止め方でいいと思います。
ハロウィンにデートの待ち合わせをしたけれども、出かけていく勇気がないドナルド。
あ~、もう遅刻だ、どうしようどうしようと、あせっているんだけれど、時間だけが過ぎていく。
こんな感じ。誰もが共感できるところです。
ちなみに、この映画題名は、ハロウィンの日に2人がした仮装です。
音楽好きのイザベラがモーツァルト。
ドナルドのクジラは、大きくてゆったりと人を見守っているというイメージ。
かわいい2人連れでした。
&冒頭、ドナルドの運転するタクシーに乗って、ずっと仕事の話をしていた2人の日本人のオジサンにはちょっと笑えました。
2004年/アメリカ/94分
監督:ベター・ネス
出演:ジョシュ・ハートネット、ラダ・ミッチェル
モーツァルトとクジラ
モーツァルトとクジラ [DVD] | |
ロナルド・バス | |
アートポート |