映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

シザーハンズ

2007年05月19日 | 映画(さ行)

ジョニー・デップファンとして、やはりこれを見ていないのはまずいでしょう、ということで、見てみました。
以前テレビでやっていたのをチラッと見たことはありましたが、きちんと見るのははじめて。
「泣けるホラー」とか言う触れ込みだったのではないでしょうかね、当時。
ジョニーデップの出世作ではあるけれど、どこか変な役という方向性を決定付けられてしまった作でもある、と思う。

エドワードはある天才学者が作り上げた人造人間。
ただし、なぜか両手が鋏!!
これは不便極まりない。
触るもの全て、自分自身をも傷つけてしまう・・・。
彼自身は純粋無垢。
しかし、人から見れば、不気味、凶暴。
これはあの、フランケンシュタインにも似ているかもしれない。
なにしろ、これはまあ、明らかにファンタジーというかおとぎ話の類なので、拾い上げるべきいくつかの点を触れてみよう。

人の気持ちの熱しやすさ、さめやすさ。
始め人々は、エドワードがものめすらしく、植木の手入れを頼んだり、ヘアカットを頼んだり。
勝手に祭り上げておいて、状況が変われば一転して離れていき、逆に憎みさえする。
なんて自分勝手な人間たち・・・。

自分と違うものを受け入れない、排他性。
普通に付き合えばいいだけのことなのに、妙にに持ち上げるか、排除するか。
どちらかになってしまう。

しかし、彼を受け入れた一家の心の広さは救いでもある。
母、娘。つい上記のように陥りがちな人の気持ち。
だけど、きちんと広い気持ちで受け入れることも出来る、ということだ。
キムの優しい心はエドワードの見つけた宝物で、その思い出一つで、後の長い孤独にも耐えられたのだろう。

山の上の古びたお城の庭で、彼は氷を刻み、下界に雪を降らせる。
かつて、雪の中で舞っていたキムにプレゼントを贈るように。
ほろりときます。
終始、不気味な無表情のジョニー・デップ。
どう見ても、ステキ・・・とは程遠いけど、でも、これが出世作なんですねえ。
このエドワードは、子供の頃芸術的才能を持ちながら、周囲の人となじめない、ティム・バートンの自身がモデルということです。

この町の家並みや、人々の衣装が、ポップ調の色彩で、ファンタジーっぽさを盛り上げています。どこまでも俗っぽい人々の集まる、象徴的な町。
そこに現れるジョニーデップがあくまでもモノクロ。
所詮、溶け込めないということなんだなあ。


「シザーハンズ」

1990年/アメリカ/105分。

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ダイアン・ウィースト

シザー・ハンズ

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン