ハウスキーパーとして勤めるメキシコ人フロールとその娘クリスティーナ、そして勤め先の家族の物語。
ここで、「フロール」は思い切り巻き舌で発音すべし!
アメリカはロサンジェルス。
アメリカ国内でも結構英語が通じないところがあるんですね。
フロールとクリスティーナはメキシコからロスにやってきてもスパニッシュ系の居住地に住んでいたため、母親はスペイン語のみで、全く英語がわからない。
娘の方はやはり学校で習うのでしょう、英語もOK。
でも、ハウスキーパーとして働くために、こちらは全くスペイン語がわからないアメリカ人の家にやってきた。
ここで、文化・価値観の相違による様々な軋轢がドラマになっていきます。
フロールは、自分の価値観にとても忠実で、勤め先の家族がそれを犯すことも見過ごせない。
我慢できずにずけずけと口にしてしまうのですが、それが通じないのが、もどかしくもおかしい。
でもイキイキと、くるくる働く姿は魅力的です。
大人の話を娘に通訳させるのもまずい、と、一念発起して、英語の猛勉強を始めます。
一方、この家のアダム・サンドラー演じるご主人は、レストランのシェフ。
しかも相当腕のいいシェフで、新聞のレストラン評で、ほとんど最高といっていい4つ星を受けてしまう。
しかし彼は本当は、あまりいい評価を受けたくなかった。
店が忙しくなって、家族と過ごす時間が少なくなってしまうし、何ヶ月も前から予約を入れないと来られないような店ではなく、ふらりと来て入れるような、そんな店にしたいと思っていたから。
こういう価値観、なんかいいなあ、と思うのです。
さて、家庭においては、この妻が結構独善的。
彼女も自分の価値観にはうるさいほうなのですが、どうも一人よがり。
子供をしかるときは、夫婦共同戦線を張るべき、ということで、自分がしかった後、しからないで許してしまう、夫を責める。
また、自分の娘はほったらかしで、クリスティーナばかりかわいがる。
しかしこのような妻をも包み込む包容力が夫にはあって、なんかいいよなあ、こういう人、結婚するなら、こういう人だよなあ・・・と、思ってしまうわけです。
その妻は、何とそのような夫がいながら浮気!!いい加減にしなよね~。
まあ、そんなだから、なんとなく、彼とフロールはお互いにに惹かれあってしまうわけですが・・・大人の映画でした。
夫婦が元のサヤに納まり、フロールは仕事を止めるというエンディング。
言葉の壁にまつわるストーリー。
いやこれは、「バベル」よりよほどわかりやすかったかも・・・、楽しいし。
2004年/アメリカ/131分
監督:ジェームズ・L・ブルック
出演:アダム・サンドラー、ティア・レオーニ、パズ・ベガ、クロリス・リーチマン
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