トラブルメーカーの帰還
* * * * * * * *
アン・ハサウェイのアップに『レイチェルの結婚』、ときて、
彼女がレイチェルなのかと思ってしまいますが、
そうではなくて、アン・ハサウェイはそのレイチェルの妹、キムでした。
キムは、薬物中毒の厚生施設に入っていて、
姉、レイチェルの結婚式のために、9ヶ月ぶりに帰宅したのです。
家は手作り結婚式の準備でいろいろな人であふれかえっていて、てんやわんや。
しかしそこへ、このいわば厄介者の娘の登場で、
微妙に空気が動いてゆく。
久々に帰宅した家族を迎え入れるのに、この気まずさ、緊張感。
また、レイチェルにしても、なにやら疎外感を感じイライラしてしまうのです。
血のつながりが自然に「愛」を生み出すかといえば、
そういうわけでもないですね。
むしろ、近くにいすぎれば息苦しいし、
はなれて音沙汰がなければ、無視されていると感じる。
切ろうとしても切れない縁が、うっとうしいこともある。
こんなリアルな感情が良く表されていたと思います。
この作品は、ホームビデオ風に撮影されています。
キムの移動と共についてゆくカメラが揺れる。
ごく普通の結婚式の記念撮影の中に、
実は映し出されている家族の葛藤・・・、というところでしょうか。
演技もリハーサル無しのぶっつけだったそうで、
そのために、また緊張感がでていますね。
さて、ストーリーが進むうちに見えてくるのは、
実はこの家には年の離れた末の息子がいたということ。
幼くして亡くなっている。
キムが薬物中毒にまで至ってしまったのは、そのことと関係がある。
これこそが、問題の核心だったわけですが、
このことでキムはもちろん、家族の誰もが傷ついていたのですね。
でも、口に出すことは暗黙のうちにタブーになっていた・・・。
ラストでは、幾分再生の可能性が見えるあたりではほっとさせられます。
これにはやはり「結婚式」の場が力を添えているのかも知れません。
本当に、結婚式のシーン、パーティーのシーンなどが
執拗なほどきめ細やかに描かれているのです。
いつしか、そのにぎやかでありつつも厳粛な雰囲気に
こちらものまれていました。
レイチェルの結婚に、なんだかちょっぴり、涙してしまいましたよ・・・。
結局、切ろうとしても、切れない家族の縁。
確かにうっとうしくはありますが、
でも、それこそが自分のアイデンティティに関わるところで、
最後に返るところはやはりそこなのだろう。
キムはその大きな瞳で、そのことを見極めて、
施設にもどっていったと思います・・・。
2008年/アメリカ/112分
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、ビル・アーウィン、デブラ・ウィンガー
レイチェルの結婚 日本版予告編 RACHEL GETTING MARRIED Trailer Japanese
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アン・ハサウェイのアップに『レイチェルの結婚』、ときて、
彼女がレイチェルなのかと思ってしまいますが、
そうではなくて、アン・ハサウェイはそのレイチェルの妹、キムでした。
キムは、薬物中毒の厚生施設に入っていて、
姉、レイチェルの結婚式のために、9ヶ月ぶりに帰宅したのです。
家は手作り結婚式の準備でいろいろな人であふれかえっていて、てんやわんや。
しかしそこへ、このいわば厄介者の娘の登場で、
微妙に空気が動いてゆく。
久々に帰宅した家族を迎え入れるのに、この気まずさ、緊張感。
また、レイチェルにしても、なにやら疎外感を感じイライラしてしまうのです。
血のつながりが自然に「愛」を生み出すかといえば、
そういうわけでもないですね。
むしろ、近くにいすぎれば息苦しいし、
はなれて音沙汰がなければ、無視されていると感じる。
切ろうとしても切れない縁が、うっとうしいこともある。
こんなリアルな感情が良く表されていたと思います。
この作品は、ホームビデオ風に撮影されています。
キムの移動と共についてゆくカメラが揺れる。
ごく普通の結婚式の記念撮影の中に、
実は映し出されている家族の葛藤・・・、というところでしょうか。
演技もリハーサル無しのぶっつけだったそうで、
そのために、また緊張感がでていますね。
さて、ストーリーが進むうちに見えてくるのは、
実はこの家には年の離れた末の息子がいたということ。
幼くして亡くなっている。
キムが薬物中毒にまで至ってしまったのは、そのことと関係がある。
これこそが、問題の核心だったわけですが、
このことでキムはもちろん、家族の誰もが傷ついていたのですね。
でも、口に出すことは暗黙のうちにタブーになっていた・・・。
ラストでは、幾分再生の可能性が見えるあたりではほっとさせられます。
これにはやはり「結婚式」の場が力を添えているのかも知れません。
本当に、結婚式のシーン、パーティーのシーンなどが
執拗なほどきめ細やかに描かれているのです。
いつしか、そのにぎやかでありつつも厳粛な雰囲気に
こちらものまれていました。
レイチェルの結婚に、なんだかちょっぴり、涙してしまいましたよ・・・。
結局、切ろうとしても、切れない家族の縁。
確かにうっとうしくはありますが、
でも、それこそが自分のアイデンティティに関わるところで、
最後に返るところはやはりそこなのだろう。
キムはその大きな瞳で、そのことを見極めて、
施設にもどっていったと思います・・・。
2008年/アメリカ/112分
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、ビル・アーウィン、デブラ・ウィンガー
レイチェルの結婚 日本版予告編 RACHEL GETTING MARRIED Trailer Japanese