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「公務員教師にダメ出しを!」 戸田忠雄

2009年06月08日 | 本(解説)
公務員教師にダメ出しを! (ちくま新書)
戸田 忠雄
筑摩書房

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学校を良くするためには、教師を変えなくてはいけない。
そのために必要なのは、学習者による評価制度。
つまり、先生にも通信簿!
・・・と、このような趣旨の本です。

多忙化・・・というようなことで、教員も大変だと思われている一方、
このように、すっかり馴れ合いの教育現場の中でのうのうと過ごしている、
と思われていたりもする。
しかして、その公立学校の教師の実態は・・・?


まず、ダメな教師とは・・・。
こんな風に著者は分類しています。

1 サド系
ヒステリー教師。
切れやすい教師。
サディズム系暴力教師。
相手が自分に抵抗できないという確信があるから、
サディスティックになるという。

2 セクハラ系
こういうのは、ことが起るとすぐマスコミが飛びつくので、
近頃目立ちますね。
スキンシップとセクハラは紙一重のところもあるので、
教師は十分注意しないといけない。

3 無能系
教師としてのリーダーシップが不足しているか、
学力が不足しているか、あるいは双方。
つまり、これでは教師としての基本的な責務を果たすことができない。


さて、引き続いて、ダメな校長、というのもありますよ。
校長というのは、教師としては優秀だったかも知れませんが、
管理職としての適正はまた別物。
児童生徒にいうことを聞かせてきたという経験では
教師集団にいうことを聞かせられない・・と。
また、多くの校長は、学校の進むべき道を指し示す役割なのに、
そもそも、学校は学習者のためにあるという「顧客サービス」の精神が皆無。
そんなダメ校長の3分類

1 威張りん坊系
校長のポストにつくだけが目的の人。
権力の基盤を強固にするために、子分を作りたがる。
権力欲の人。
こうしたボス校長が教員採用や管理職昇格人事に影響力を発揮し、
疑惑の温床となる。
・・・なるほど。

2 保身系
権限やポストは欲しがる一方、責任は取りたがらない。
教師は尊敬されるべき存在という思い込みを未だに持っている。
こういう人に保護者が相談を持ちかけても無駄。
保護者が教師と対立してもめると、教師側についてしまう。

3 無能系
何もしない。
リーダーシップを発揮しようともせず、
ひたすら退職までの日数を数えている。
新しいことは何もせず、敷かれたリールの通りに動くだけ。


やれやれ・・・、と思いますが、実際こんな教師はいますよね・・・。
そこで、教職員評価、あるいは学校評価です。
実は学校ではすでに、
教職員評価や学校評価は義務付けられ、行われています。
しかし、この著者に言わせれば
それはほとんど内部の評価であり、
また、保護者等の意見を聞くといってもおざなり。
第一、記名式であったりするので、
子どもを人質にとられている親は本音を言うことができない。
ほとんど有名無実、意味のないものとなっている。

そうではなく、学習者、顧客側の評価が必要ということですね。
確かに、公立学校の教師は、これまであまりにも安泰でした。
世間の風向きが変わってきていることすらわかろうとしない人も・・・。
しかし思うに、評価というのは、
ダメ教師を振り落とすためではなくて、
先生を育てる、良いところをもっと伸ばす、
そういうための評価ならいいですね。

今時の学校の通知表もそうなっているはずです。
子どもの良いところを、もっと伸ばす、
そういう視点で書くように、学校側も努力しているはず。
なので、「先生にも通信簿」というのであれば、
そういう視点であるべきなのではないかと思います。

・・・ちょっと教師に味方しすぎかな?

満足度★★★★☆