命をかけた苦難の果てにあるもの
* * * * * *
明治40年。
陸軍の陸地測量部、柴崎が、
日本地図最後の空白地点を埋めるため、
富山県立山連峰、劔岳の頂点を目指す物語です。
劔岳は霊峰であり、付近の村では登山はタブーとされていたのですね。
その険しさももちろんですが、
そういう理由もあって、それまで前人未踏となっていた山なのです。
ところがその測量隊が登山計画を始めたのと時を同じくして、
創立間もない日本山岳会でも、登頂を目指すことになった。
柴崎は、仕事として頂上を目指すだけなのに、
陸軍のトップからは、
民間の遊び半分の山岳会なんかに絶対遅れをとってはならない、との厳命が下る。
このあたりが実に、時代色を感じるところです。
全く、そんなことで見栄を張ってどうする・・・、といいたくなりますが。
ただ、それまでは登山には宗教的な意味はあったかも知れませんが、
『スポーツ』的な意味はなかったというわけですね。
欧米からようやくスポーツ・冒険という意味での登山の捉え方が入ってきた、
そういう時代なのです。
見渡す限り、山また山・・・。
大自然の中で、人間はゴマ粒のようにちっぽけです。
一体何のために山に登るのだろう・・・、
柴崎は一時そのような疑問にとらわれるのですが、
まさに、私たちもそう感じてしまうでしょう。
答えは多分一人ひとりの胸のうちにある。
人は何かの目的に向かって、歩み続けずにはいられないものなのかもしれません。
山の頂上というのは、誰もが認める目に見える到達点ですものね。
努力と苦労の果ての幸福感、充実感。
この一瞬を人は目指す。
こうした思いは結局測量隊であっても、山岳会であっても、同じ。
だから共感できちゃうのでしょう。
ため息が漏れるほどに、峻烈で美しい山の風景。
眼下に広がる雲海。
時にはまばゆい雪に覆われ、時には木々の紅葉にそまる・・・。
すばらしいホンモノの映像でした。
それと同時に、
キャストやスタッフのこの撮影のご苦労も身にしみて察せられます。
よくぞ、あの大荷物を背負ってあの険しい道を登りましたこと・・・。
また、今なら登山の装備も軽くて暖かく、相当進歩していますが、
当時は大変ですね・・・。
とくに、香川照之は、あの壮大な荷物、見ていて同情してしまいましたが・・・。
(中身は空だった・・・なんてわけでもなさそうですし・・・。)
浅野忠信の力の入り過ぎない飄々とした演技もいい。
けれど、その奥底の情熱がだんだん見えてくるんですよ。
プロの仕事の美しさ、そういうものも感じました。
私は立山黒部アルペンルートは10年ほども前に、観光で行きました。
今ではある程度のところまでなら、乗り物で簡単に行けてしまう。
こういうのも、そういう先人たちの苦労のおかげというわけなのですね。
この日は、「愛を読むひと」との二本ハシゴ。
どちらも、極上品。
幸せな一日でした。
2009年/日本/139分
監督・撮影:木村大作
原作:新田次郎
出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、中村トオル、宮崎あおい
[trailer] Mt Tsurugidake
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明治40年。
陸軍の陸地測量部、柴崎が、
日本地図最後の空白地点を埋めるため、
富山県立山連峰、劔岳の頂点を目指す物語です。
劔岳は霊峰であり、付近の村では登山はタブーとされていたのですね。
その険しさももちろんですが、
そういう理由もあって、それまで前人未踏となっていた山なのです。
ところがその測量隊が登山計画を始めたのと時を同じくして、
創立間もない日本山岳会でも、登頂を目指すことになった。
柴崎は、仕事として頂上を目指すだけなのに、
陸軍のトップからは、
民間の遊び半分の山岳会なんかに絶対遅れをとってはならない、との厳命が下る。
このあたりが実に、時代色を感じるところです。
全く、そんなことで見栄を張ってどうする・・・、といいたくなりますが。
ただ、それまでは登山には宗教的な意味はあったかも知れませんが、
『スポーツ』的な意味はなかったというわけですね。
欧米からようやくスポーツ・冒険という意味での登山の捉え方が入ってきた、
そういう時代なのです。
見渡す限り、山また山・・・。
大自然の中で、人間はゴマ粒のようにちっぽけです。
一体何のために山に登るのだろう・・・、
柴崎は一時そのような疑問にとらわれるのですが、
まさに、私たちもそう感じてしまうでしょう。
答えは多分一人ひとりの胸のうちにある。
人は何かの目的に向かって、歩み続けずにはいられないものなのかもしれません。
山の頂上というのは、誰もが認める目に見える到達点ですものね。
努力と苦労の果ての幸福感、充実感。
この一瞬を人は目指す。
こうした思いは結局測量隊であっても、山岳会であっても、同じ。
だから共感できちゃうのでしょう。
ため息が漏れるほどに、峻烈で美しい山の風景。
眼下に広がる雲海。
時にはまばゆい雪に覆われ、時には木々の紅葉にそまる・・・。
すばらしいホンモノの映像でした。
それと同時に、
キャストやスタッフのこの撮影のご苦労も身にしみて察せられます。
よくぞ、あの大荷物を背負ってあの険しい道を登りましたこと・・・。
また、今なら登山の装備も軽くて暖かく、相当進歩していますが、
当時は大変ですね・・・。
とくに、香川照之は、あの壮大な荷物、見ていて同情してしまいましたが・・・。
(中身は空だった・・・なんてわけでもなさそうですし・・・。)
浅野忠信の力の入り過ぎない飄々とした演技もいい。
けれど、その奥底の情熱がだんだん見えてくるんですよ。
プロの仕事の美しさ、そういうものも感じました。
私は立山黒部アルペンルートは10年ほども前に、観光で行きました。
今ではある程度のところまでなら、乗り物で簡単に行けてしまう。
こういうのも、そういう先人たちの苦労のおかげというわけなのですね。
この日は、「愛を読むひと」との二本ハシゴ。
どちらも、極上品。
幸せな一日でした。
2009年/日本/139分
監督・撮影:木村大作
原作:新田次郎
出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、中村トオル、宮崎あおい
[trailer] Mt Tsurugidake