映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

夕陽のガンマン

2009年06月11日 | クリント・イーストウッド
オルゴールと荒くれ男
           * * * * * * * *

さて、これは完璧に前作「荒野の用心棒」のウケを引き継いだ作品のわけですが、
二番煎じかと思えば、さにあらず、
これがまたいいんですね。

ここでのクリント・イーストウッドはマンゴという賞金稼ぎの男。
そして、ここにはもう1人の主人公、
同じく賞金稼ぎの大佐(リー・ヴァン・クリーフ)と呼ばれる男が登場。
この二人が同時に目をつけたのが、
インディオと呼ばれるならず者の一派。
大佐は初老に差し掛かっており、沈着冷静。
一方マンゴはまだ若く、血気にはやっているという役どころ。

この二人が始めに相対するシーンが良いですよ。
お互いに望遠鏡でお互いを見ているんですね。
えっ。何だコイツ、という感じ。
そして、初めて間近で会ったときには、
まず、お互いの靴を踏んで泥をなすりつけたりしている。
こっそり物陰から見ていた子どもたちが、
「遊んでるの?」とささやく。
まったく、子どもの喧嘩みたいな二人。
結局お互いの帽子を打ち合っただけで、流血騒ぎにはなりません。
二人は共同してインディオ一味を片付けることになるのです。
インディオ一味はエルパソの銀行襲撃を計画しているのです。
ここをねらい目に、彼らを始末しようという二人の狙い。

しかし、敵もさるもの。
インディオの銀行襲撃は予想以上に手際が良かった・・・!
インディオは単に悪人というだけでなく、
さすが多くの手下を率いるだけあって頭も良く、
銃の腕も確かなわけです。
そしてなぜか不似合いなオルゴールを大事にしている・・・。
やさしいオルゴールの音色と荒くれ男の銃の撃ち合い。
この対比が効いていますね。
なぜか、大佐も同じオルゴールを持っているんですよ。
なにやら、過去の因縁が・・・?
単なる撃ち合いだけでなく、このような色づけもあるあたりで、
深みも出ているのです。
西部劇もバカにできないなあ・・・、といまさらながら思ったりして。

クリント・イーストウッドの見せ場もたっぷりですね。
ニヒルで、ちょっぴりちゃめっけのあるところもいい。
銃の早撃ちもカッコイイ。
振り向きざまの3連発。
銃を指でくるくると回してホルダーへすとんと収める。
よく西部劇ごっこなんかでやりましたねー。
まさに、それです。
近頃、こういう映像はみないですねー。
こういうのが似合うのが、クリント・イーストウッドだったんだなあ・・・。

1965年/イタリア・スペイン/127分
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ルイジ・ピスティリ