映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

17歳のカルテ

2011年03月19日 | 映画(さ行)
2大女優の競演



            * * * * * * * *

心が不安定なスザンナ(ウィノナ・ライダー)は
アスピリンを大量にのみ自殺を図るのですが失敗。
その後精神病院で過ごすことになります。
そこには様々な症状の女性たちがいて、
彼女たちとの交流を通しながら、心の落ち着きを取り戻していく、そういうストーリー。

中でもその病棟の患者のリーダー格リサ(アンジェリーナ・ジョリー)の存在感は圧倒的。
凶暴で、破滅的ではありますが、
どこか精神を病んでいるかと言えば、そのようには見えない。
それを言うと、このスザンナもその通りなのですね。
彼女自身、自分はこんな所にいる必要はないと思っている。
彼女の診断名は「境界性人格障害」。
情緒不安定で著しい衝動性がある、とされている。
でもこんなことは誰にでも時折あることです。
特に思春期の女性などには・・・。
異常と正常のボーダーなんて、どこにもありません。
心の揺れ幅がちょっと人より大きいだけ。


彼女の心に寄り添ってストーリーの進行を見守る私たちは、
はじめ、確かに彼女は正常の範囲にいる、
彼女の主張は間違っていない、と思えるのです。
でも、終盤、ある大きな事件があって、
そこで我に返ったスザンナを見ると、
やはり以前はどこか壊れていた、そういうふうに思える。

この演じ分けがすごいと思いました。
ボーダーはない。
けれども確かに、心の芯が定まっている状態と
そうでない状態の差はある。

全く同じ意味で、リサの精神状況の演じ分けもすばらしいのです。
先にも記したとおり、彼女は“正常”の範囲に思える。
けれど、やはりどこか壊れた部分がかすかに見え隠れする。
こういう微妙さを演じられるのはすごいですね。
今さらアンジーを見直してしまった・・・。
2大女優の競演といっていいかも。

17歳のカルテ コレクターズ・エディション [DVD]
ウィノナ・ライダー,アンジェリーナ・ジョリー,ジャレッド・レト,ウーピー・ゴールドバーグ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


「17歳のカルテ」
1999年/アメリカ/127分
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、クレア・デュバル、ウーピー・ゴールドバーグ