正統な感動作
* * * * * * * *
さて、やりましたね。
この作品、アカデミー賞作品賞に輝きました。
コリン・ファースも主演男優賞。
私は、先に「ソーシャル・ネットワーク」を見たときに、これだ!!と思ったのです。
なんというか、まさに「今」をとらえた、非常に勢いのある作品。
圧倒されました。
だから、「英国王の・・・」の方がちょっと弱いのでは、と思ったのですよね。
しかし、先日こちらを見まして、うなってしまいました。
こちらは実に正統的な感動作品です。
まさに「正しい映画」。
作品賞は時々変に小難しい終わり方の作品が受賞しますが
(こういうのはアカデミー賞を権威づけようとするみたいな意図が見える感じで嫌なんです)、
この作品、ちゃんと感動の渦の内に終わるんです。
う~ん、どっちも甲乙つけがたいけど、万人受けするのはやはり「英国王・・・」か。
そんな感じで、28日の結果を楽しみにしておりました。
ではでは、作品のご紹介。
英国の現エリザベス女王の父、ジョージ6世にまつわる実話を元にしています。
父王の次男である彼には、吃音障害があったのです。
その昔なら、ラジオなどなくて王が吃音でもさほど困らなかったかも。
けれどもこの時代、テレビはまだありませんが、ラジオがありまして、
王として全国民に言葉を伝えなくてはならない。
きちんと話さなければならないと思えば思うほど、
緊張感が高まって、うまく話せなくなってしまうのですね。
だから彼(即位前はヨーク候)は、兄が王位を継ぐことを願い、
自分は決して王位などに就きたくはなかった。
そんな彼は様々な医者にかかるのですが、どれもこれもうまくいかない。
最後に行き着いたのが、言語療法士のローグのところです。
ローグは、彼の障害の原因は心の問題だと語ります。
始めはかたくなだったヨーク候の心も次第に打ち解け、
二人の間に信頼関係が生まれていく。
ヨーク候が語り始めた彼の幼少の頃の様々なことを聞くと、切なくなってしまいます。
王家に生まれてしまったが故の不幸とでも言うべきでしょうか。
普通は王子といえば何一つ不自由なく誰にも愛される
・・・そんな生活を想像しますが、
彼にとっては決してそうではなかった。
これで普通に成長する方がおかしいとすら思えてきます。
でも、このようなことを人に「語る」ことが、
実は彼には一番大事なことだったのだと思います。
どんな場合であっても、人の生きる力を支えるのはやはり人の心。
友人や家族間の信頼関係、愛情、励まし。
さて、順当に行けば彼は次男なので長男が次の王です。
確かに兄が一度王座に就いたのですが、彼は何とも自由奔放。
離婚歴のある女性との愛のために王座を捨てる。
これもまたドラマチックな話ではあります。
こちらを主役にして、もう一本映画が出来そう。
やむなく、次男のヨーク候が王位を継がなければならなくなってしまった。
折しも第二次世界大戦。
開戦に当たり、王として国民を勇気づけるスピーチをしなければならない。
いよいよラジオの生放送・・・というときには、
まるで自分がスピーチするかのように緊張してしまいました。
固唾を呑んで、彼のスピーチを待ち受ける家族、放送局の人々、王宮の人々、国民たち・・・。
緊張の後に続く感動のラストは、やはり映画の王道。
アカデミー賞の頂点にふさわしいといえましょう。
札幌では1館でしか上映がなく、先日も混雑していましたが、
この後はもっと込みそうです・・・。
狙った上映時間より早めにお出かけください。
・・・あるいは、混雑が落ち着く頃まで待つのも手ですね。
いずれにしても一見の価値ありです。
「英国王のスピーチ」
2010年/イギリス・オーストラリア/118分
監督:トム・クーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアーズ、デレク・ジャコビ
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さて、やりましたね。
この作品、アカデミー賞作品賞に輝きました。
コリン・ファースも主演男優賞。
私は、先に「ソーシャル・ネットワーク」を見たときに、これだ!!と思ったのです。
なんというか、まさに「今」をとらえた、非常に勢いのある作品。
圧倒されました。
だから、「英国王の・・・」の方がちょっと弱いのでは、と思ったのですよね。
しかし、先日こちらを見まして、うなってしまいました。
こちらは実に正統的な感動作品です。
まさに「正しい映画」。
作品賞は時々変に小難しい終わり方の作品が受賞しますが
(こういうのはアカデミー賞を権威づけようとするみたいな意図が見える感じで嫌なんです)、
この作品、ちゃんと感動の渦の内に終わるんです。
う~ん、どっちも甲乙つけがたいけど、万人受けするのはやはり「英国王・・・」か。
そんな感じで、28日の結果を楽しみにしておりました。
ではでは、作品のご紹介。
英国の現エリザベス女王の父、ジョージ6世にまつわる実話を元にしています。
父王の次男である彼には、吃音障害があったのです。
その昔なら、ラジオなどなくて王が吃音でもさほど困らなかったかも。
けれどもこの時代、テレビはまだありませんが、ラジオがありまして、
王として全国民に言葉を伝えなくてはならない。
きちんと話さなければならないと思えば思うほど、
緊張感が高まって、うまく話せなくなってしまうのですね。
だから彼(即位前はヨーク候)は、兄が王位を継ぐことを願い、
自分は決して王位などに就きたくはなかった。
そんな彼は様々な医者にかかるのですが、どれもこれもうまくいかない。
最後に行き着いたのが、言語療法士のローグのところです。
ローグは、彼の障害の原因は心の問題だと語ります。
始めはかたくなだったヨーク候の心も次第に打ち解け、
二人の間に信頼関係が生まれていく。
ヨーク候が語り始めた彼の幼少の頃の様々なことを聞くと、切なくなってしまいます。
王家に生まれてしまったが故の不幸とでも言うべきでしょうか。
普通は王子といえば何一つ不自由なく誰にも愛される
・・・そんな生活を想像しますが、
彼にとっては決してそうではなかった。
これで普通に成長する方がおかしいとすら思えてきます。
でも、このようなことを人に「語る」ことが、
実は彼には一番大事なことだったのだと思います。
どんな場合であっても、人の生きる力を支えるのはやはり人の心。
友人や家族間の信頼関係、愛情、励まし。
さて、順当に行けば彼は次男なので長男が次の王です。
確かに兄が一度王座に就いたのですが、彼は何とも自由奔放。
離婚歴のある女性との愛のために王座を捨てる。
これもまたドラマチックな話ではあります。
こちらを主役にして、もう一本映画が出来そう。
やむなく、次男のヨーク候が王位を継がなければならなくなってしまった。
折しも第二次世界大戦。
開戦に当たり、王として国民を勇気づけるスピーチをしなければならない。
いよいよラジオの生放送・・・というときには、
まるで自分がスピーチするかのように緊張してしまいました。
固唾を呑んで、彼のスピーチを待ち受ける家族、放送局の人々、王宮の人々、国民たち・・・。
緊張の後に続く感動のラストは、やはり映画の王道。
アカデミー賞の頂点にふさわしいといえましょう。
札幌では1館でしか上映がなく、先日も混雑していましたが、
この後はもっと込みそうです・・・。
狙った上映時間より早めにお出かけください。
・・・あるいは、混雑が落ち着く頃まで待つのも手ですね。
いずれにしても一見の価値ありです。
「英国王のスピーチ」
2010年/イギリス・オーストラリア/118分
監督:トム・クーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアーズ、デレク・ジャコビ