映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スプリング・ブレイカーズ

2014年03月15日 | 映画(さ行)
そしてオバサンは途方に暮れる・・・



* * * * * * * * * *

レストラン強盗で手に入れた資金で
春休みにフロリダのバカンスに出かけた女子大生4人組。
ドラッグとアルコール、そしてセックス漬けの毎日。
一番まともそうな女の子・フェイス(セレーナ・ゴメス)は、
この「自由」で「楽しい」毎日こそが、自分の求めていた本当の居場所だ・・・
などと思っています。
しかし、麻薬ディーラーの男・エイリアン(ジェームズ・フランコ)と出会うことで、
彼女らは裏社会へと踏み出していく・・・。



私ははじめのうち、あの「ブリングリング」を連想していました。
これもやり場のない空虚を抱えた少女たちの犯罪の物語なのであろう。
まあ、先も想像つくなあ・・・などと思いつつ。
予想通り、二人の女の子は現実をわきまえ途中で怖くなって、
失意を抱きながらバスに揺られて帰っていきます。
ここまでは極めて現実的な物語。



そもそもこのエイリアンという男、
キンキラキンの歯をしたいかにも胡散臭くアブなそうなヤツ。

こんな男の元に残った二人の命運はもはや尽きた
・・・と思ったのが大間違い。
なんというか、この二人の心の空虚さは
単なるうつろを超えてブラックホールだ!
エイリアンをも手玉に取ってやりたい放題。
周囲の思惑などお構いなし、ただやりたいことをする。
しかし、本人たちはそれを特別楽しいと思っているわけでもなく・・・。



なんなのだこれは・・・。
これはもう現実を超越して、既にファンタジーの域ではありますが、
結局どういう話だったのか。
私は嘆かわしいとか恐ろしいとかいう感情よりも、
ただただ圧倒され取り残されたような気持ちになってしまっていました。
善とか悪とか言う価値判断なんて、意味が無いようにも思えてしまいます。
オバサンは途方に暮れるのみ・・・。
全く変だけれど、何やら力のある作品ではあります。

スプリング・ブレイカーズ [DVD]
ジェームズ・フランコ,セレーナ・ゴメス,ヴァネッサ・ハジェンズ,アシュレイ・ベンソン,レイチェル・コリン
東宝


「スプリング・ブレイカーズ」
2012年/アメリカ/93分
監督:ハーモニー・コリン
出演:ジェームズ・フランコ、セレーナ・ゴメス、バネッサ・ハジェンズ、レイチェル・コリン
価値観の粉砕度★★★★☆
満足度★★★☆☆