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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「こめぐら」倉知淳

2014年03月10日 | 本(ミステリ)
とびきりユニークな作品群

こめぐら (創元推理文庫)
倉知 淳
東京創元社


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必要か不必要かはどうでもいいのだ。
したいからする。これは信念なのだ
―密やかなオフ会でとんでもない事態が発生、
一本の鍵を必死に探す男たちを描く「Aカップの男たち」、
うそつきキツネ殺害事件の犯人を巡り
どうぶつたちが推理を繰り広げる非本格推理童話「どうぶつの森殺人(獣?)事件」など
ノンシリーズ作品に、猫丸先輩探偵譚「毒と饗宴の殺人」を特別収録した全六編。


* * * * * * * * * *


倉知淳さんの短篇集。
とびきりユニークな作品が収められています。
まずは冒頭「Aカップの男たち」で度肝を抜かれるというか、笑ってしまう。
「Aカップ」で皆さんは何を連想しますか?
そう、まさしくソレなんですが。
主人公東堂は会社でもあの『ゴルゴ13』に似ていると噂される
ゴツくて渋い苦みばしった男。
それが何故にAカップ? 
悪いのですがミステリの謎解きよりも設定に魅了され(?)ました。


「さむらい探偵血風録」は、まさに時代劇。
いえ、ある人物が古いマイナーなTVドラマをレンタルで見ているのです。
これがやけに紋切り型でオーバーアクションの時代劇。
しかしはじめに提示される謎がいかにも本格ミステリ風なので、
その解答を楽しみに見続けるのですが・・・
とんでもない結末に導かれる。
それにしても、いかにも時代劇。
倉知淳さんの遊び心満載という感じです。


一応ノンシリーズという触れ込みなのですが、
ラストの「毒と饗宴の殺人」は猫丸先輩が登場します。
これはいわばボーナス・トラックで、
通常「猫丸先輩」のシリーズでは殺人は起きないのですが、ここでは起きてしまう。
他の短編も十分に面白いのですが、
やはり見知ったキャラクターが登場すると安心感があったりして、お得な一冊です。


本作と同時発売の「なぎなた」も同様の短篇集で、
本来なら一冊で出してもいいのだけれど、
短篇集としてはボリュームが出過ぎるので2冊に分けたということのようです。
やっぱりそちらも読まなくては・・・。


ところで「こめぐら」も「なぎなた」も収録作品の題名ではなく、
内容とも関係なし。
ただなんとなくつけた題名だそうで・・・。
そんなんでいいのか・・・? 
ま、いっか。


「こめぐら」倉知淳 創元推理文庫
満足度★★★★☆